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【書評54】医者が介護の邪魔をする!/矢嶋嶺
| 医者が介護の邪魔をする! (介護ライブラリー) | |
![]() | 矢嶋 嶺 講談社 2007-08-28 売り上げランキング : 199795 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
病気になったらお医者さんに診てもらおう、と言って同意しない人は少ない。しかし、この本を読んで印象が変わった。この本の提示する実例があらゆる面から、医療だけを選択肢にすることの危険性を提示している。
1)長野県での入院平均期間と老人医療費の関係の事例
長野県での入院平均期間と老人医療費の関係は非常に面白い。
「長野県は有数の長寿県である。いつ変わらぬかわからぬが、世界でもっとも長生きの地域といってよいであろう。(中略)また、老人医療費が安いとも言われている。とくに老人医療費の低い理由について、長野県の入院期間は日本一短いことが挙げられる。したがって、薬も少ない。ということは、医療にどっぷり浸かると、寿命が短くなるというブラックユーモアになってしまう。(引用)」
2)お医者さんのストライキの事例
また、1970年代にボゴタ・ロサンゼルス・イスラエルで起きた「お医者さんのストライキ」の話も衝撃的だ。50日前後に救急医療以外は行われなかった。その結果、これらの都市の死亡率がそれぞれ、35%、18%、50%減少し、手術の件数も数十%減少したという驚くべきことがおきた。
救急医療に限って診察をしたので、労力を重症患者の治療に集中することができたから、と説明するが、軽症患者に対して不必要な治療をしないことで人命救助ができたことを物語る。
3)医原病という事例
また、医原病という概念にも驚いた。医原病とは、医療が作り出す病気のことだ。病院に行って医療で治るのは1割。医原病が1割だという。
ここまで来て思ったのは医療を礼賛し、盲目的に信じるのは危険かもしれない、ということだ。今までの事例はむしろ、医療によって寿命が短くなってしまっている例だし、何も万能ではない、ということを知っておく必要がある。
その上で、今の時代は「自分自身で自らの最期を選ぶ時代」だとも痛感した。戦国時代の腹切りほど究極的ではないが、最期は病院でという人もいれば在宅で、という人もいる。その選択肢は誰にとってもとても大事な決断だ。医療も介護も100%安心出来る状態であることのほうが少ない。しかし、どれを選ぶかが、自分自身にとって非常に重要な決断になるのは確かだ。
医療の現場からの衝撃的な報告を多数収録したこの本を片手に自分の最期、親の最期について少し考えてみてはいかがだろうか。
医者が介護の邪魔をする! (介護ライブラリー)
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