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【書評57】寝たきりからの出発-老人介護の常識を変える-/愛老園
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この書籍では、介護施設でのオムツ交換の現実をマザマザと見せてくれる。いろいろな施設を訪ねてみるとオムツ交換は「1日4回」だということがわかったという。6時間に一回で、時間は厳格に守られているので、呼んでもすぐには変えてくれない。ひたすら交換を待つことになる。この著者は1日10回のオムツ交換をすることを思いつき、実行に移したというが、1日に4回というだけでも普通の家族には強烈に大変なことだ・・・。
人は1日24時間のうち、6時間程度は寝ている。そうすると、18時間あるうちで4回するとなると、4時間半に1回はオムツ交換をするということになる。在宅での介護の担い手の多くは「普通の主婦」だ。普通の主婦には買い物にも行かなくてはいけないし、パートの時間もあるだろうし、洗濯・料理・子供の世話などなど様々な用事がひっきりなしに存在する。
主婦はもともとマルチタスクのプロダクトマネジメント能力が非常に高いと私は思っている。本人・夫・息子・娘の4人家族だったとして、起床・料理・洗濯・掃除・買い物をそれぞれの分を面倒を見たとしたら、それだけで4×5で20個のマルチタスクが存在するわけだ。
これだけでも一日走り回っているはずなのに、そこに「介護」が加わる。単純に「起床・料理・洗濯・掃除・買い物」が一人分増えて、20個から30個に増える上に、「排泄」という現実が待っている。30個から31個に増えるが、これが尋常ではない。
この本を読むとよくわかるが、排泄ケアを失敗すると、「頭の地肌までまっ黄っ黄」な状態になるという。ヘルプマンの中でも描写されているが、オムツの交換は排泄と直接対決するということだ。ほかの人の排泄物は普段目にしないし、気持ちの良いものでは絶対にない。吐き気をもよおすし、つらいものだ。
それを4時間半に1回やるというのは強烈だ。しかも、毎日でいつ終わるかなんてわからない。これはまた、尋常ではない。並大抵な精神力では切り抜けられないし、実際多くの主婦が嫌になるのだという。
この著者も少しずつオムツではなく、自分の力でトイレに行ってもらうようにしているそうだ。はじめは1日に10回のオムツ交換をしつつ、その後、少しずつオムツをはずしていく。家族にとっては願ってもないようなすばらしいケアだと思う。
この著者の語る食事療法も具体的だ。刺身、ひじきの煮物、とろろ、伊勢崎地方の名物”かぼちゃのいとこ煮”などが便秘に聞いたという。もちろん、軟便や下痢になることもあるというが、「下痢は大便がやわらかく出ること」だと思っているという。これには笑った。確かに、多くの高齢者の排泄関連の悩みは出たいときに出したいが、出たくないときに出る、ということだ。この解決策のためにもまずは便秘解消をし、出たいときに出る状態を作ることが非常に大切だ。あとはこの時間帯をコントロールしていけばいいからだ。
介護は日常生活のすべてが関わるだけに、すさまじい量の知識が存在している。あなたも、自分の中での「老人介護の常識」を変える体験を本を通じてしてみてはいかがだろうか?
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