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【書評60】ウンコ・シッコの介護学/三好春樹
| ウンコ・シッコの介護学 | |
![]() | 三好 春樹 雲母書房 2005-05 売り上げランキング : 205168 おすすめ平均 ![]() 介護「学」の書でした。 排泄ケアの大切さ痛感。 これを読むとオムツ外しをせずにはいられなくなるAmazonで詳しく見る by G-Tools |
この本は読み物としてもすごく面白い。
介護していると三好さんは人生の哲学を知った。『人生最後に求められるのは「人柄と体重」』。重い人は腰を痛めてしまうから嫌われるのだ。また、介護士に一番嫌われる職業は「金持ち、先生、教師」。こんな出だしから入りながら、介護の本質的なテーマである自立支援に対して深くメスを入れていく。
例えば、男性の心理から考えて、今まで妻に味噌汁、といえば、味噌汁が来たのに、「自立にならないから自分でやって」と言われると見捨てられたのかと思う。そこで、依存がいけないわけではなく、依存を部品化する必要がある。そのために公的な場であるデイサービスなどを薦めている。その通りだ。
さらに医療の持つ矛盾にもメスは入る。例えば、医者は「ギャッジベッドを30度起こした姿勢が一番飲み込みやすく、誤飲しにくいからこれで食事させろ」と言うが、嚥下反射が消失している極めて稀な例だという。むしろ前かがみで食べることのほうがよっぽど大事だ。
体位変換しなければ、1箇所で良かったはずの床ずれがしたために3箇所になる、なんていう笑えないケースもある。これは人間の重力のかかる場所をキチンと理解しないからだ。驚いたのは「人間工学に基づいた椅子は最悪」という指摘。ゴソゴソ出来ないから、同じ場所に重力がかかってしまうというのだ。
ウンコ・シッコの介護学というだけあって、排泄ケアの知見もかなり豊富だ。例えば、それぞれの症状別に尿意・便意や、皮膚感覚のあるなし、を比較した表がある。
| 老化 | 片麻痺 | パーキンソン病 | 認知症 | 下半身マヒ | 意識障害 | |
| 尿意・便意 | ○ | ○ | ○ | ○ | △尿意は消失、でも代償尿意、便意がある | ×訴えられない |
| 皮膚感覚 | ○ | ○ | ○ | ○ | × | × |
これを見るとむしろほとんどのケースで尿意・便意はあるのだ・・・。安易にオムツという選択肢に走らなくても良かったりする。実際、オムツになるのは介護する側が疲れてしまうからで、介護される側に立った話ではなさそう、ということがよくわかる。
この本ではこういった指摘以外にも膨大な知見が収録されている。介護というものの本質を見定めたければ、一度読んでみてはいかがだろうか。
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