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見守り・生活支援サービス開始 分譲マンション管理会社 高齢入居者対策あの手この手

2009年06月04日15時35分

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(コンテンツ提供:高齢者住宅新聞2009年4月25日号)

築20年、30年といった分譲マンションでは、住人の高齢化が進んでいる。
こういったマンションでは管理組合や自治会が機能しなくなるだけでなく、認知症の住人による失火などのトラブル発生リスク、孤独死の発生による資産価値の大幅下落の可能性、などといった問題も抱えている。
こうした中で、これまでは共有部分の管理のみを行ってきた管理会社各社が、生活支援サービスなどをスタートさせ、住人の高齢化・単身化に対応する動きを強めている。大手各社の動きを追った。

建て替え・改修に時間がかかる

 
同じ集合住宅でも賃貸と分譲とでは、住人高齢化問題の深刻さには大きな差があるという。
 例えば、賃貸住宅は気軽に住み替えられるのが特徴だ。
したがって「高齢化によりひとりで生活していくことが難しい」となれば、高齢者住宅や介護施設に移り住む人も多い。
 しかし、分譲の場合、住人からすれば「何千万円もの大金をはたいて買った我が家」であり、仮に加齢により生活が困難になったとしても、ギリギリまでそこでの生活を好む傾向が強い。
このため、要介護度が重くなったり、認知症が進行したりしても、そこに住み続けるケースが少なくない。
したがって、分譲マンションほど、より住人の高齢化への対応が求められることになる。
 また、古い集合住宅ではバリアフリー対策がなされていないことも多いため、高齢化の進捗の中で改修が急務となっている。
この場合、賃貸住宅はオーナー1人の所有物のため、オーナーが決断すればすぐに改修に着手することができる(居住者の退去や資金調達の問題はあるが)。
 一方、分譲の場合は、所有者が多数に及ぶため、改修には意見調整が必要になる。
管理組合で改修について協議をしたとしても個々の費用負担の問題などから「総論賛成・各論反対」になることも多い。
また住人の高齢化が進む中では、管理組合が十分に機能せず話し合いを行うことすら難しい、というケースもある。
 こうした点から、住人の高齢化・要介護度の上昇・認知症の進行が深刻なのにもかかわらず、対応が十分に行えない、ということが、分譲マンションにとって大きな課題となっているのだ。

専有部分も業務の対象に

 
こうした中で、分譲マンション管理会社が積極的な動きを見せている。
これまで、分譲マンション管理会社は、共用部分の管理・保守のみを手がけ、住戸内については「住人の所有物である」として管理対象にしてこなかった。
 しかし、最近では、住人のニーズに応じ、電球交換やゴミ出しの代行を管理人が行ったり、コールセンターを設けて医療や健康に関する相談を受け付けたり、緊急通報サービスを導入したり、と、高齢者の生活を支援するメニューを打ち出すケースが増えている。
その多くは管理組合単位での契約だが、中には住戸単位での個別契約が可能なメニューもある。
 このように、管理会社各社が、居住者の生活サポートに直接乗り出した背景には、住人側の意識の変化も大きいようだ。
伊藤忠アーバンコミュニティ(東京都中央区)マンション管理本部の吉野美幸部長代行が語る。
 「少し前まで住人の方は管理会社に対して『自分たちの居住スペースに対しては口を出さないで欲しい』というスタンスでした。購入する製品・導入するサービスについても、管理組合で決めるので、管理会社は提案をしてこなくてもいい、という考えたっだのです。
しかし、今はネットなどを通じて製品やサービスに関して、あまりに多くの情報が入るようになったことで、逆に『どれを選んだらいいのかわからない』というケースが出てきたのです。
こうした中で『良い製品・サービスがあったら管理会社の方からどんどん提案をして欲しい』という考えが住人の間でも広がってきているのです」
 東急コミュニティーが実施した、マンションにおける生活関連サービスの利用志向に関するアンケート調査の結果によると不要品の引き取りや掃除などについて多くのニーズがあることがわかる。
これらの多くのニーズに対し、管理組合側でいちいち提供が可能な事業を探し出して契約をするというのは非常に手間がかかる。
こうしたことから「一括して管理会社に任せたい」というニーズが高まっているのが現実だ。
 こうした意識の変化は、最近の建設・不動産不況の影響を受けている管理会社にとっても「渡りに船」といえる。
 つまり分譲マンションの供給・販売が低迷する中では親会社が開発したマンションの管理を受託することで事業規模を拡大させていく、というこれまでの戦略がとれなくなってきている。
 その打開策としては、他社が管理しているマンションに管理会社の切り替えを提案するのが効果的だ。
そのためには管理メニューの充実を図り、他社との差別化を明確に打ち出していく必要性がある。
 また、管理メニューを充実化させ、それらを「オプション」として別立ての料金設定とすることで、これまでと同じ管理戸数でも、より多くの収益をあげることが可能となる。

1万戸ないと導入は困難

このように、生活支援メニューの拡充は、管理会社にとって事業拡大の大きな切り札になるといえる。
しかし、実際に取り組めることのできる管理会社はそうは多くはないのが現実だ。
 例えば、管理会社の事業規模がハードルになることもある。
 大京アステージの生活サポートサービスは、一種の会員性サービスのため、ある程度の会員数がないと、制度の存続が難しい。同社では、このサービスについては、ベネフィット・ワンと契約しベネフィットが実際のサービスを提供する、という仕組みを用いているが、
ベネフィットとの契約については「1万戸をひとつのロットとする」というのが条件になっている。
 また、管理戸数が多くでも、管理物件の居住者の多くが若者・ファミリーという物件では、生活支援メニューに対してのニーズ自体が少ないことが考えられる。
東急コミュニティー(東京都世田谷区)のマンションライフ事業部増田健司部長が語る。
 「分譲マンションの高齢化が進んでいると言っても、全員が高齢者と言う訳ではなく、若い方もいます。その場合は管理組合で高齢者対策用の製品やサービスを導入したとしても、一部の住人から『自分には不要なサービスなのに費用を負担するのは納得がいかない』という声も出てきます。
こうした不満を出さないためには、提案を管理組合単位ではなく、住戸単位にするなどの工夫も必要となってくると考えています」
 しかし、この場合は、導入件数の増加ペースが鈍り、スケールメリットが出てくるまでに時間がかかる、という難点がある。
こうした点を考えると単身居住者、しかも高齢者が多いマンションを多数抱えていることが、こうした取り組みを行う上でのひとつの条件になってくる。

二極化が進む今後の管理業界

こうした点を考えると実際に、答礼者対策を含む専有部サービスについての取り組みを行える管理会社はそうは多くない、というのが現実となっている。
高齢者生活支援については「取り組んでいる事業者」と「そうでない事業者」の二極化が進むことが考えられるのだ。
 しかし「管理物件の中には世帯主の平均年齢65歳というものもある」(東急コミュニティー)、「築15年物件を例にとれば住人の3「分の1が単身者でその平均年齢は60歳」(大京アステージ)、「実際2008年は管理物件において2件の孤独死が発生した」(伊藤忠アーバンコミュニティ)など、分譲マンションの住人高齢化・単身化は深刻な状況となっており、その対応策を構築することは急務と言える。
こうした流れの中で、分譲マンション管理会社については淘汰の流れが進むことも予想される。
 「専有部へのサービス提供は、分譲マンション管理業界にとって、市場の勢力図を塗り変える起爆剤になることが考えられます」
(日本ハウズイング小林俊一常務)

参考リンク:社会福祉法人いきいき福祉会 DV被害者や外国人の生活支援も

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