商社・リース・消費者金融などが展開 - 介護施設・介護情報なら介護の安心ガイド

商社・リース・消費者金融などが展開

2009年06月30日12時23分

ソーシャルブックマーク

印刷 

(コンテンツ提供:高齢者住宅新聞2009年6月25日号)

介護・高齢者住宅市場が年々拡大を続ける中で、これらを手がける事業者に対する各種サービスも広がりを見せている。
中でも、介護・医療報酬の立て替え・ファクタリングに関するサービスは、経営的に苦しむ事業者が少なくない中でこれから非常にニーズが高まっていくことが考えられる。
今回は、このサービス拡大の背景にある、提供者側・事業者がわ双方の事情を探ってる見ることにしよう。

リース会社等が早くから展開

立替えサービスを提供する主な事業者



 「介護・医療報酬の立て替え・ファクタリングサービス」(以下「立替サービス」と呼称)は、介護保険制度の誕生と同じぐらいの歴史がある。
 平成13年4月12日、総合商社の豊田通商(愛知県名古屋市)が75%、三井住友海上や東京海上日動火災など大手損保・生保5社が5%ずつ出資する形でケアポートジャパン(愛知県名古屋市)が設立された。
 同社の業務は介護報酬債権の買取り。「請求から5日~10日間で現金化」を打ち出した。
このほかにも同社では「請求・集金事務支援(商品名「集金課長さん)」「介護事業者向け食材提供」「介護用品レンタル」を手がけ、介護事業者に向けた支援を行っている。
 また、大手地方銀行のスルガ銀行(静岡県静岡市)も早い段階から「介護報酬早期資金化支援サービス」を商品化した。
このサービスは介護業界向け各種情報サイト運営のエス・エム・エス(東京都港区)や、NDソフトウエアの子会社で介護・医療・福祉分野における情報サービス事業を手がける日本ケアコミュニケーション(山形県南陽市)などと提携する形で販売された。
 この他にも新生銀行グループの総合リース会社昭和リース(東京都江東区)やNTTグループの総合リース会社NTTファイナンス(東京都江東区)などがこのサービスを行っている。
 そして、2009年に入り、ビジネスアウトソーシング事業のプレステージ・インターナショナル(東京都千代田区)や消費者金融大手のプロミス(同)がこの事業に参入したのは本誌でも既に報じた通りだ。
 また、これと似たようなサービスとして「介護・診療報酬債権担保ローン」もある。
こちらの商品も介護診療報酬の早期現金化、という意味では共通のコンセプトだ。前述した昭和リースや地銀大手の静岡銀行(静岡県静岡市・商品名「しずぎん介護・医療ビジネスサポートローン」)、「介護報酬分野についてはまだまだこれからですが」と語るものの大証二部上場の事業者向けローン会社イッコー(大阪府大阪市)などが手がけている。
まさに、この分野のサービスは現在百花繚乱とも言うべき様相を呈している。

ケアポートジャパン 売上あっても資金ショート

 介護事業者にとって、請求した介護報酬の支払いが半年も先、というのは経営上の大きなネックとなっていた。
 訪問介護事業者は、売上に占める介護報酬の比率が高いこともあり、新規開業した事業所では、報酬が入ってくるまでの間、ほとんど無収入になってしまう、というリスクがある。
 一方で施設・居住系介護事業者の場合には、介護報酬以外の収入は多少あるものの、家賃や設備機器などの支出も多く、介護報酬が支払われるまでの間に資金がショートする、というリスクが強い。
事業者側では、こうしたリスクを回避するため、建物オーナーとの間で「初めの6カ月間は家賃の支払いが発生しない」といったフリーレント契約を結ぶなどの対策を行うことも多いが、建物オーナー側の財務状況の問題などから難しい面もあるようだ。
 また、つなぎ融資を受けようにも金融機関の中には介護事業者に対する融資実績が十分でないとこから消極的なところも多い。
さらに、不動産は保有せず賃借することが一般的な介護業界では「担保がない」ということがネックになることもあった。
 3年前から立替サービスをてがけているりそなホールディングスの一社りそな決済サービス(東京都中央区)によれば
「ここ1年ほど前からニーズが急増しています。特に、NPO法人は金融機関からの融資を受けることが難しいようで、相談・問い合わせの件数が増えています」(保証営業部最上寿彦部長)という。

年間5千件の医院が廃業

 また、こうした状況は医療の分野でも同じようなものだ。
 近年、勤務医がその激務に耐えかね、新規独立・開業するケースが増えている。ここ数年その数は年間5000件にものぼるという。
  一方でそれとほぼ同じ数の開業医が閉鎖・廃業を余儀なくされるのが現状だ。
後継者不足などもその理由のひとつだが、医療報酬の削減やライバルとなる開業医の増加により経営が成り立たなくなっているのが原因だ。また、融資を受けるようにも「小さなクリニックでも医療機器などの費用で開業には1億円ほどかかる。個人で借り入れる額としては限界に近く、開業後に追加融資を受けることは非常に難しいのが現実」(クリニック開業支援会社)という。
 大手信用調査機関の帝国データバンク(東京都港区)によれば、2008年度の医療機関・老人福祉事業者の倒産件数は過去最多を記録した。こうした状況の中で、事業者にとっては新たな「資金調達ルートの確立」が生き残りのためには必要不可欠になってきている。

金融業以外でも事業展開可能

 一方、立替サービスを手がける側には、どのようなメリットがあるのだろうか。
 まずは一般的な融資とは異なり回収不能になる可能性が極めて低い点にあるだろう。りそな決済サービスは「3年間で事故となったケースは1件もない」と語る。
 介護・医療報酬は、事業主の経営体力や借入金の額に関係なく、サービスを提供すれば確実に国保より支払われる。
これが一旦事業者を経由してしまうと、その事業者の運転資金や借入金の返済に回ってしまう可能性があるため、回収不能となるリスクがある。
しかし立替えサービスの場合は、国保から立替えサービス事業に直接支払われるために、こげつきの心配がない。
 今年立替えへの参入を表明した消費者金融大手のプロミスが語る。
 「消費者金融業界は、グレーゾーン金利の問題もあり、従来手がけてきた個人向け無担保融資一本では事業を拡大させていくのが難しく、業務の多角化が経営課題となっています。しかし当社も、これまで個人および個人事業者向けのローンのみを扱っていたため、法人の与信管理に対するノウハウがありません。介護・医療事業者に直接融資を行うのはリスクも大きいと判断しました」(広報部堀内武志主任)
 このように、これまで法人向けの金融サービスに実績のない企業でもサービスを開始することができる、というのもメリットだ。
 第二に、この立替えサービスを軸に、介護・医療事業者に多方向けからのサービスを提供できる、という点だ。
 立替えサービスを利用する事業者の多くは「利用率が低迷している」「月々の支出が多い」などの理由で当座の資金を必要としていることが考えられる。
つまり、そこには「営業力強化」や「支出削減」などのコンサルティングに関するニーズが存在することになる。

経営難事業者の利用割合高い

 一方、立替えサービス事業者側にとって、事業を展開していく上で問題にはないのだろうか。
 これについては「事業者の与信能力に関わらずサービスを利用できる、ということは与信能力が低い事業者ほど利用したがる」という点があげられる。
 「介護・医療事業者から問い合わせをもらうことも増えてきているのですが、事業が赤字で、どこの金融機関からも相手にされなくなっている事業者が少なくありません。結果としてサービス提供を見送られてもらうケースもあります」とある立替えサービス事業者は語る。
 立替えサービスでは、仮に介護・医療事業者が倒産した場合、サービス事業者は倒産した事業者に支払い債務を抱えている、という計算になる。そのため債権者が債権の回収を求め、サービス事業者の元に押しかけてくるという可能性が考えられる。
これは避けたい、というのが事業者側の本音だ。
 プロミスが語る。「当社では、立替えサービスについては介護・医療・調剤と報酬の種規を問わずに手がけていく考えでいます。
しかし、個人経営の歯科医だけは『ライバル医院の増加で経営が厳しく、倒産の可能性も他に比べ高いのではないか』との判断から、当面はサービス提供の対価からはずすことにしました」
 また、サービス事業者側のネックとしては、販売先である介護・医療事業者とのパイプが不十分、ということだ。
 このため、プレステージ・インターナショナルがあいけあ(東京都渋谷区)と、プロミスがエス・エイチ・イー (愛媛県名古屋市)と組んだようにコンサルティング会社など介護事業者と強いパイプを持っている事業者との提携・協力は必須になってくる。
いかに強力な会社と組めるか、ということが、今後の立替えサービス市場の拡大の鍵を握っているといえるだろう。


参考リンク:介護事業者の救世主となるか? 報酬立替え・買い取りサービス
      :エス・エイチ・イー 介護システムとファクタリング融合 訪問事業者向けに2009年7月より販売
      :プレステージ・インターナショナル 請求システムのASP提供なども実施
      :「立替え」と「ファクタリング」 介護報酬債権の帰属により区別
      :介護報酬立替サービス 業者選びのポイント 
                 :ファクタリング事業の今後の行方 貸金業法の対象となり各種規制が

PRエリア