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「病気」のキーワード8:肺胞低換気症候群

2009年07月09日11時14分

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(コンテンツ提供:高齢者住宅新聞2009年6月25日号)

肺活量などは正常であるにもかかわらず、肺胞低換気が低下。呼吸困難になる難病が、「肺胞低換気症候群」だ。
動脈血中の炭酸ガスが高くなり、肺胞換気量の低下した状態となる。患者数は多くないため、同病の罹患者の特徴など、不明なことはまだ多い。

酸素を吸収し炭酸ガスを排出

 空気中の酸素を体内に取り入れる重要な器官、肺。胸骨・助骨・胸郭の中に入っている。
 この臓器は体内からの”老廃物”である二酸化炭素、炭酸ガスを排出。”酸素呼吸”または”ガス交換”システムの中枢中の中枢を担っている。ちなみに海や川の魚類は「鰓(エラ)呼吸」。魚たちは、水中に融けている酸素を「鰓」を通じて「ガス交換」をする。
 「呼吸」の流れは、思いのほか複雑で、次の通りになる。
鼻腔または口腔から吸い込まれた空気は、気管を経由して肺に到達。気管は肺動脈や肺静脈が心臓に出入りする「肺門部」で左右に分岐。二つに分かれ、右気管支・左気管支となる。
右気管支は「上葉気管支」、「中葉気管支」、「下葉気管支」に分かれる。一方、左気管支「上葉気管支」、「下葉気管支」に分かれる。
 これそれぞれの気管支に分かれ、右では10本、左では9本の区域気管支に分かれる。
 その後、「小葉間細気管支」から「終末細気管支」に分かれ、「呼吸細気管支」へ酸素が運ばれる。「肺胞管」に届き、「肺胞嚢」へ継がれ、”ゴール”の肺胞へと達する。このブドウの房のように連なる「肺胞」は、肺の容積の85%を占めるもの。
ここで血液の中に酸素を取り込み、不要になった二酸化炭素を出している。

症例数少なく研究は進まず

 「肺胞低換気症候群」という病気は、肺の正常・不正常にかかわらず、肺胞換気量が低下する病気。病気が進むと呼吸困難になる。
 睡眠中は息苦しくなり、また酸素不足から昼間の眠気などがあらわれる。さらに進むと浮腫がでてくる。
 「肺胞換気量」の低下は、動脈血中の炭酸ガス濃度を高める。
 肺は正常であるため、肺活量などの肺機能検査では異常が出ないこともこの病気早期発見の難しさの課題。
 日本では今から10年以上前に調査が行われているが、この病気の診断基準に合致して患者は50名未満。
患者の症例が少ないため、同病発症者の特徴など、詳しいことはまだわかっていないのが現状だ。原因も不明。
しかし体内で、動脈血中の炭酸ガスあるいは酸素の程度を正常に保つ呼吸調整系の以上が考えられている。
また病気の遺伝はないとも考えられている。

「大きく呼吸」と睡眠時の人工呼吸

 「肺胞低換気症候群」の治療法は、呼吸を大きくすること。呼吸を刺激する薬を使ったり、鼻マスクを用いたりして、睡眠中に人工呼吸する方法もある。
 これらの方法が上手くいかない場合は、気管切開をして人工呼吸を行う。
 呼吸を刺激する内服薬とは「プロゲステロン製剤(黄体ホルモン)」などがある。
 酸素吸入の治療法では。酸素ボンベ、酸素濃縮器、液体酸素ボンベを使用して在宅酸素療法を行う。
 ただ、酸素吸入では低換気は改善されない場合もあり、この場合は換気量を増加させる他の治療法が必要になっていくる。

補足
『肺胞低換気症候群』
原因:この病気の原因は不明ですが、体内で、動脈血中の炭酸ガスあるいは酸素の程度を正常に保つ呼吸調節系の異常が考えられています。動脈血の炭酸ガスの程度は主に、延髄にあると考えられる中枢化学受容野の化学受容体によってモニターされます。
低酸素の程度は頚動脈の内頚動脈と外頚動脈の分岐部付近にある頚動脈対によってモニターされています。
これらの刺激は呼吸中枢に伝達され、炭酸ガスが多ければ呼吸が刺激され、少なければ抑制されます。
酸素に関しても、少なければ頚動脈体は刺激され、中枢では呼吸は抑制されます。原発性肺胞低換気の患者さんでは、低酸素ガス吸入による換気量の増加が少なく、また、高炭酸ガス吸入を行っても、換気量の増加が少なく、上述の炭酸ガスあるいは酸素をモニターし、呼吸中枢に至る経路のどこかに障害があるものと考えられます。

遺伝:この病気は遺伝しないと考えられます。
この疾患は、現在の診断技術では診断できない呼吸調節系のなんらかの異常と考えられ、血管障害などの後天的な異常と考えられます。

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