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報酬改定で老健・GHに加算 ターミナルケア加算特養以外も適用対象に

2009年07月31日16時28分

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(コンテンツ提供:高齢者住宅新聞2009年7月15日号)

 2009年4月の介護報酬改定で、特別養護老人ホームなどにあった「ターミナルケア加算」が、グループホームでも新設。
入居者を最後まで看られる体制づくりが、より一層求められるようになってきた。
しかし実際には8割の高齢者は病院で死を迎えている現状があり、特定施設含め多くの施設で”看取り”の体制が整っていない現状がある。

追い出す現状

 「入居者の病状が悪化し、介護スタッフでは面倒が見切れなくなった場合、退居してもらっている」
 東京都内でグループホームを展開するある事業者は、入居者を”追い出す”という苦汁の選択を打ち明ける。
 「ホームに看護師を常駐させていないため、何かあった場合の責任が取れない」というのはその理由だ。
 2009年に入ってからも、入居者の病気が悪化したものの、病院への入院を断られ、結局家族のもとに戻って看病・介護されている元・入居者が1名いるという。
 「本当ならば最後まで入居者の面倒をみたい。看取りまで行いたい。けれども実際には看護師を常駐させられるほど予算はなく、仮に何かあって家族から訴えられたら事業所を守れない」そうグループホーム事業者は本音を話す。
 2009年度から新たな介護報酬として、グループホームの「ターミナルケア加算」が新設。グループホームでは死亡日以前30日を上限に、1日80単位を死亡月に加算されるようになった。
だが、この加算に対しても、「ターミナルケア加算が付いたから看護師を雇用する、ということは、その報酬額からも難しい」とし、
「今回の報酬改定だけでは、グループホームで看取り体制整備が加速するのはないかもしれない」と予測する。
 入居者や家族が老人ホームやグループホームに求める”終の棲家”。
その実態は、医療連携をきちんと整えたところでなければ自宅に帰って来ざるを得ない場合があるなど”幻の棲家”となりえる可能性を秘めている。

病院で死去8割

 厚生労働省の「平成19年度人口動態統計」によれば、65歳以上の高齢者が死亡する場所の80%以上は病院と、圧倒的に多い。
自宅は11%、老人ホームは3%程度だ。
 1980年代に急増した療養病床の削減問題と絡まり、今後は医療機関ではなく自宅や施設で”最期”を迎えるケースが増えてくる。
 国もそうした状況に対応すべく、2009年4月の介護報酬改定では、これまでの特養の「看取り介護加算」と療養型老健の
「ターミナルケア加算」に加え、既存型老健に「ターミナルケア加算」、グループホームに「看取り介護加算」を新設。
訪問看護は「1200単位/死亡月」としていたターミナルケア加算を「2000単位/死亡月」と見直した。
 訪問看護で「ターミナルケア加算」となる要件は、「死亡日前14日以内に2回以上ターミナルケアを実施していること」と「主治医との連携の下に、訪問看護におけるターミナルケアに係る計画および支援体制について利用者およびその家族などに対して説明を行い、同意を得てターミナルケアを実施していること」だ。
 高齢者の1%が最期を迎える「老健」の「ターミナルケア加算」では、「200単位/日」(死亡日以前15~30日)、315単位/日(死亡日以前14日まで)が加算。
 要件は、①入所者が医学的知見に基づき回復の見込みがないと医師に診断された者で、②入所者またはその家族などの同意を得て、入所者へのターミナルケア計画が作成されていること、③医師や看護師、介護職員などが共同して、入所者の状態または家族の求めなどに応じ、随時説明を実施、同意を得てターミナルケアが行われていること、となっている。
 先に「看取り体制」が整備できていないグループホーム事業者を挙げたが、看取り体制設備に注力し、それがうりとなって全運営グループホームを100%の稼働率にしているのが、日本最大の医療法人グループ・徳洲会の介護事業会社、ケアネット徳洲会(千葉県船橋市)だ。
 同社はグループホームを5棟、有料老人ホームを6棟運営。グループホームはいずれのホームも待機者を出す好況で、湘南エリアでオープンしている介護付き有料老人ホーム「アンリ茅ヶ崎」などの有料老人ホームも満室となっている。
 そんなケアネット徳洲会で「看取り体制」構築に尽力してきたのが、看護師資格を持つ、「アンリ茅ヶ崎」の中澤照子施設長だ。
中澤施設長はこれまで「グループホームかさま」などで看取り体制を整備。
多くの入居者をホームで見送ってきた。
 開設1年10ヶ月の「アンリ茅ヶ崎」でも「8名亡くなったが、そのうち1名はホームで見送ることができた。7名は具合悪化により入院し、病院でなくなった。最期を治療最優先に考える病院で迎えることになると、管などでスパゲティ状態になってしまうケースが多い。
本人が辛いだけでなく家族も見るに絶えない状況になるため、できる限り病院ではなく施設で見送りたい」と中澤施設長は話す。

「教育」が重要

 「入居一時金6000万円の高級有料老人ホーム入居者が、見取りなどで安心して最期まで過ごせると、解約して転居してきたケースもある」(中澤施設長)という「アンリ茅ヶ崎」では入居者契約時に、「看取りに関する指針」および「看取り介護についての同意書」を契約者に渡している。
 その指針では、「看取り介護実施には、以下の条件を満たすと共に看取り介護に関する理念、理念に基づく質の高いサービスが行われていなければならない」とし、「ホームは医師及び医療機関と連絡を図り、医師の指示により訪問看護ステーション看護師、管理者を中心に他職種協同体制のもとで御入居者、御家族の尊厳を支える看取りに努めるものとする」と掲げる。
 看取り介護にあたっては、「茅ヶ崎徳洲会総合病院」、「茅ヶ崎駅前クリニック」、「茅ヶ崎駅前訪問看護ステーション」と密に情報を共有。
入居者に苦痛を与える点滴や注射、気管内挿管などは行わず、可能な限り経口摂取を行い、「本人に苦痛のない限り、病院搬送はしない」(中澤施設長)。
 介護スタッフには大きく6つの役割を課す。①食事・排泄・保清のケアのサービス、②心身的精神的緩和のケアと安楽な体位の工夫、③コミュニケーションを十分にとる、④看取り介護の状況観察、記録の記載、⑤定期的なカンファレンス開催への参加、⑥生死確認のために細やかな訪室。
 そのためスタッフへの「看取り教育」にも力を入れている。
 「ベテランのスタッフでも、目の前で人が死んでいくのは”怖い”こと。それゆえきちんと”死ぬ”ということ、”看取る”ということなど、その意味や死生観、スタッフの役割を教えなければ、いざと言うときに動揺してうまく対処できなくなる」と、中澤施設長はスタッフへの教育の重要性を説く。

補足

「ターミナルケア加算」について
2009年4月の介護報酬改定で、特別養護老人ホームにあった「ターミナルケア加算」が、介護老人保健施設(老健)やグループホーム(GH)にも加わった。老健では、死亡日以前15~30日に「200単位/日」、死亡日以前14日までは「315単位/日」が加算。GHの場合は「看取り介護加算」として、「80単位/日」が加算される。訪問介護の「ターミナルケア加算」は見直され、「1200単位/死亡月」から「2000単位/死亡月」に引き上げられた。

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