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「病気」のキーワード9:副腎白質ジストロフィー

2009年08月06日13時07分

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(コンテンツ提供:高齢者住宅新聞2009年7月15日号)

 男性に起きる遺伝病のひとつであり、公費対象の難病でもある「副腎白質ジストロフィー」。
小児時の発症では、歩行困難や次第にコミュニケーションもとれなくなる。成人時での発症では、歩行傷害を主徴として知能低下をきたさないタイプ、小児と同様に知能低下を主徴とし、最終的には植物状態に至るタイプがある。

公費対象の一つ「ALD」とも

 難病は「特定疾患」と呼ばれ、難治性疾患克服研究事業、いわゆる調査研究対象は全130疾患ある。
そして治療研究事業の対象、公費対象となっている疾患は全45疾患。
今回取り上げる「副腎白質ジストロフィー」は、この45疾患のうちのひとつだ。
 同じく公費対象に「ライソゾーム病」という難病がある。「ライソゾーム」という人間の新陳代謝時に古い物質を分解する細胞の部分。
この部分には多くの分解酵素があるのだが、この分解酵素の一つが先天的に欠損していることが原因で起きる難病が
「ライソゾーム病」だ。次第に歩けなくなったりするなど、神経系の症状が多く見られるのが特徴だ。
 「副腎白質ジストロフィー」は、この「ライソゾーム病」の一種。「ALD」とも略される。

先天的に酵素欠損新陳代謝異常に

 「副腎白質ジストロフィー」は、脳内の神経線維ばかりの部位「白質」が傷つけられる病気だ。
この「白質」は、新鮮な脳組織の断面観察時に、白色に光っているように見られる部位でもある。
 健常者が持つ新陳代謝に必要な酵素を先天的に欠損。これにより代謝異常が発生し、本来排出されるべき物質が神経細胞内に蓄積する。
 この蓄積した物質が、中枢神経系の「髄鞘(ずいしょう)」、すなわち神経パルスの電導を速める機能のある部位を剥ぎ、「白質」が損なわれる。
 この中枢神経系において「髄鞘」が壊されることを「脱髄」と呼ぶが、「副腎白質ジストロフィー」ではこの「脱髄」に加え、「副腎」という腎臓の上にありホルモンを産出している臓器の機能不全も伴われる。

小児で発症時は時間経過で悪化

 小児で発症する場合は、知能低下、行動異常、斜視、視力・聴力低下、歩行時の足のつっぱりなどの症状で発症することが多い。
症状は時の経過とともに悪化する。
 次第にコミュニケーションがとれなくなり、通常1~2年で臥床状態となる。
 成人で発症する場合は、いくつか種類があり大きく2つのタイプがある。1つは歩行障害を主徴とし、知覚障害、尿失禁、インポテンツなどをきたすもの。この場合は知能低下を起こさず、慢性の経過をとるタイプになる。
 もう1つのタイプは、小児で発症する場合と同様の経過を辿るタイプ。
知能低下が主徴。急速に進行し、最終的には植物状態に至るタイプになる。
 この病気は男性に遺伝する病気だが、女性保因者の場合、通常発症しない。ただ中高年以降に軽度の歩行異常を認める場合もあるという。

「造血幹細胞」移植に効果も

 患者数は、男性2~3万人に1人の割合。「副腎白質ジストロフィー」は遺伝病なので、同数の女性の保因者がいる。
ただ先に紹介したように通常、女性には症状を示さない。
 治療法は、小児型で発症早期の場合には、白血病患者に治療として使われる、血球系細胞に分化可能な幹細胞「造血幹細胞」の移植に効果があるとの結果もある。
これは提供者(ドナー)の「造血幹細胞」を移植して正常な血液を造ることができるようにする治療だ。
 また成人発症の場合は「造血幹細胞」の移植手術は成功率が低いとされている。歩行障害を主徴とするタイプでは、歩行時の足のつっぱりを緩和する「坑痙縮薬」の内服が行われる。

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