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高齢者居住法改正と高専賃・高優賃の今後 生活支援サービス付高優賃 推奨モデルとして普及促進

2009年08月21日17時54分

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(コンテンツ提供:高齢者住宅新聞2009年8月5日号)

 高齢者居住安定確保法(正式名称 高齢者の居住の安定確保に関する法律/以下高齢者居住法)の改正がいよいよ2009年8月に行われる。
これにより高優賃・高専賃についても、新たなルールづくりが行われるため、それらを手がける事業者にとっては、大きな影響を受けることになる。今回は法改正の中身を再度確認するとともに、それが高齢者住宅運営事業者にどのような影響を与えるのか検証してみることにしよう。

介護・生活支援サービスのついた高齢者の住まい(住宅・施設)の概要  住宅と福祉の融合目を指す

 国交省は、2009年7月27日、高齢者居住法改正に関する説明会を開催、施行は2009年8月19日(一部は2010年に5月19日)と発表した。
 法改正のポイントは以下の通り。

 高齢者居住安定確保法のポイント
①基本方針の拡充
 ●国土交通大臣と厚生労働大臣が共同で策定し、老人ホーム高齢者居宅生活支援体制等を追加
②高齢者居住安定確保計画の策定
 ●都道府県が高齢者向け賃貸住宅及び老人ホームの供給の目標等を記載した計画を策定
③高齢者生活支援施設と一体となった高齢者向け優良賃貸住宅の供給の促進
 ●高齢者向け優良賃貸住宅と一体的に整備される高齢者生活支援施設の整備の推進など
④高齢者円滑入居賃貸住宅の制度改善
 ●最低居住水準等の要件を満たすもののみ登録可能など

まず、①にあるように、これまで国交省の所管法律だった高齢者住宅法が国交省と厚労省の共同所管となり、今後は両省が協力する形で高齢者の住宅整備に取り組んでいくことになる。
 これについては評価・歓迎する向きが強いだろう。これまでの高齢者の住まいは、住宅行政の中で供給されたものは、建物は立派なものの、介護や医療などソフト面でのサービス体制が不十分なことが、一方福祉行政の中で供給されたものは、プライバシー確保や居室面積など住環境の面で劣ることが多いという難点があった。
今回、両行政が協力することで、それぞれのバランスが取れた良質な高齢者住宅が供給されることが期待されている。
 また、これに伴い、各都道府県や市町村においても住宅行政と福祉行政の連携が進むとこが考えられる。
実際に、東京都のように猪瀬直樹副知事の直轄プロジェクトとして、知事本局に高齢者住宅施策を担当するセクションが設けられ、
住宅・福祉両行政の担当者が参画するなどの例が見られる。
 しかし、その一方でこれまで、この両行政の連携が十分ではなかった自治体も多いため、急な連携に現場レベルでは戸惑いも多いようだ。
 ③は、介護などの生活支援メニューが着いた高優賃の供給促進だ。
 現在、特養の入居待機者が全国で38万人おり、結果的に要介護度4以上などの限られた人しか入居できない、という状況になっている。こうした中で、要介護度2~3程度の高齢者の居住先は必要とされているが、それを生活支援メニューが付いた高優賃で補っていこう、という考えだ。

総額40億円を国が新規助成

 高優賃については、自治体が建設費を家賃について助成を行うことで建設の促進や入居の促進を図っている。
それに加え今回の法改正に伴い、生活支援サービスを提供するための部分の工事費として国が総額40億円の新規直接助成を行うことになる。
 このように、国は高優賃の供給に力を入れていく考えだが、多くの自治体では高優賃の供給については消極的だ。
 その理由はやはり自治体の財政不足。自治体に高優賃の建設申請にいっても「うちの県(市)では高優賃の建設は認められていません」と拒否されるのが現実だけに、どれだけ国が助成を充実させても、高優賃の供給が順調に増加するとは考えにくいのが正直なところだ。
 ある県の住宅行政担当者は「もし、国が高優賃の供給促進を図りたいのでしたら、自治体でなく国が全て助成するべきだと思います」と語る。
 各自治体がこのような状況であるため、②につても、どれだけの都道府県が供給計画の策定をおこなうかは未知数だ。
国は計画策定を強制化したかったのだが、都道府県の反発があり、策定は任意となった、という経緯があるだけになおさらだ。
 都道府県が計画を策定しないと、国も①を実行できないため「国は高齢者住宅施策に対し積極的に取り組んでいる都道府県に要請して、半ば強引のような形で策定させるのではないか」(自治体担当者)という見方もあるようだ。

約2割の物件が登録はずれる

 さて、④が今回の法改正の中で事業者に与える影響が一番大きいといえるだろう。
 これまで、高円賃(高専賃)については、登録の際に居住面積については特に規定は設けられていなかったが、
今回の法改正では25平米以上(一部条件を満たしていれば18平米以上)という登録要件が新設される。
現在登録済の高円賃・高専賃のうちおよそ2割程度の物件が、この要件を満たしていないと推定されている。
 ここで重要なのは法改正以前に登録を行っていた25平米(または18平米)未満の高専賃については、既得権が認められない、
という点だ。つまり、現在登録済みの物件についても、一度登録をすべて白紙に戻した上で再登録を行うことになる。
その際に、新設された登録要件を満たさない物件は、高円賃・高専賃として認められなくなる。
2009年7月27日の説明会で国交省では「2009年の11月19日より、新登録要件での登録申請を受付、5月19日より新登録要件に基づいた高円賃・高専賃制度がスタートする」と説明している。
これについては業界内でも反発が多いようだ。
 その最大の理由は「25平米では採算がとれない」というもの。
 特定施設の居室面積は13平米以上と規定されているため、同一の土地に建設すると想定した場合には、高円賃・高専賃は
特定施設の約半分の居室数しか確保できない、という計算になる(共用部分は今回計算に入れていない)。
だからと言って、高専賃が月々の家賃を特定施設の倍額に設定することは不可能であるし、特定施設のように高額の入居一時金でカバーすることもできない。

狭小賃貸などの整備も必要に

 もっとも高円賃・高専賃の中でも、元気な高齢者を対象にすれば、1戸25平米以上は必要になるだろうが、要介護の高齢者の場合、25平米を必要とはしないと考えられる。
このため、特に、多くの介護事業者のように総量規制で新規供給が困難な特定施設の代替として高専賃を開設する場合には、
無駄に広い居室を作らねばならないため採算性が大きく減少することが考えられる。
 ちなみに、高優賃に関しても25平米以上、というルールが設けられている。
しかし、高優賃の場合は比較的元気な高齢者を入居対象にしていることが多い上に、自治体からの助成もあるため、25平米でも入居ニーズはあり、事業者も採算をとることができる。
 しかし、高専賃に要介護型の高専賃の場合は、25平米ではニーズもなく、採算もとれないケースが多いだろう。
 「高円賃・高専賃は施設ではなく賃貸住宅。住宅なのだから、ある程度の居室面積は必要になる」という国交省の主張は理解できる。しかし、それならば国は「高円賃・高専賃は健常高齢者向けの住宅」と明解に位置付け、一定のルールを課す一方で、
要介護高齢者向けの狭小賃貸住宅を新たに制度化し普及を図っていく、などの取組を行うことも必要になってくるのではないだろうか。
また、要介護者向けの高齢者向けの住宅整備の観点から各自治体に現在実施されている総量規制撤廃などを求めていくことも必要なのではないだろうか。


参考リンク:高専賃・高優賃建設自治体の本音 関西編 大阪府大阪市 
      :高専賃・高優賃建設自治体の本音 関西編 兵庫県・神戸市 高優賃シャットアウト公営住宅の整備が課題
      :高優賃 国は新規助成も自治体は消極的
               :「住宅型」の届け出が増加か 25平米ルール適用 新基準でどうなる高専賃

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