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高齢者居住法改正と無届けホーム問題 2008年秋の総務省発表まで無届けホームは「黙認状態」

2009年08月23日11時51分

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(コンテンツ提供:高齢者住宅新聞2009年8月5日号)

今回の法改正にも見られるように、高専賃についても自治体・行政のチェック機能をはたらかせる、という方向性が強くなっている。
その根底にあるのは、無届け有料老人ホームのように、自治体・行政が実態を把握できない高齢者住宅・施設の存在を無くそう、という考えだ。では、そもそも無届け有料老人ホームは一体どのような問題をはらみ、なぜ今まで存在していたのだろうか。
無届け有料老人ホーム問題をあらためておさらいする。

無届け有料老人ホームをめぐる動き
2008年
 9月5日
 総務省が「全国の無届け有料老人ホーム数353棟」と発表。厚労省に対して勧告を行う

2009年
 3月19日
 群馬県渋川市の無届け有料老人ホーム「静養ホームたまゆら」で火災発生。10人死亡・1人負傷

 3月23日 国交省・厚労省・消防庁がそれぞれ無届け有料老人ホームに対する調査を開始

 3月30日 群馬県が県内の有料老人ホームおよび類似施設46件に対し立ち入り調査開始

 5月8日  東京23区の区長による特別区長会が厚労省に対し「低所得者向けの福祉施策の充実を」と緊急要望行う

 5月28日 厚労省が全国の無届け有料老人ホーム数を446件と発表。各都道府県に対し「早急な届出を行うよう指導を徹底」など   
         5項目からなる要請を実施

 5月28日 国土交通省が「無届け有料老人ホームの6割強に何らかの建築基準法令違反が認められる」と発表

 6月18日 消防庁が「無届け有料老人ホーム446件のうち、382件にスプリンクラー設置や自動火災報知設備未設置などの違反あ    
        り」と発表

10人死亡火災でようやく本格調査

 無届け有料老人ホームは、入居者への虐待行為、違法建築の建物での運営などが職員や利用者家族の内部告発などで明らかになるたびに、単発的にクローズアップされてきた(例・2007年1月に発覚した千葉県浦安市の無届け有料老人ホームでの入居者の虐待など)。
 しかし、その問題について、広く認識されたのは、2008年9月5日に総務省が全国の無届け有料老人ホームの数の調査結果を発表してからだろう。
総務省はこの調査結果を受けて、厚生労働省に対し「都道府県に対して、有料老人ホームの実態把握、事業者への届出指導などを行うように要請せよ」と勧告した。
 そして、その半年後の2009年3月に、群馬県渋川市の無届け有料老人ホーム「たまゆら」火災で10人もの死者を出したことで、
各自治体や行政が一気に動き、無届け有料老人ホームの実態把握や、運営者に対する指導などが行われた。
その結果現在では無届け有料老人ホームは廃業をしたり、住宅型有料老人ホームとしての届出を行ったりして、数は減少していると考えられている。
 しかし、この成果も、結果的には、10人の死者が出たからであり、仮に、この火災がなかったら無届け有料老人ホームへの対応はもっと遅れていたと考えられる。
 無届け有料老人ホームで何かしらの事故・事件が発生すると、自治体は「その施設の存在は把握できていなかった」「届け出を行うように指導を行っている最中だった」などと語る。
確かにそういったケースもあるだろうが、中には自治体をはじめとする各関係者が無届け有料老人ホームの問題に共まで本気で取り組んでいたのだろうか、と思わざるを得ない話もある。

自治体・行政は真剣に動いたか

 例えば、関東地方のある市の無届け有料老人ホームは、その市の議員関係者が深く経営に関わっているという。
それならば、当然市でもその有料老人ホームの存在を把握しているはずであるし、届け出が行われているかの確認はなされるのが当然だ。にもかかわらず現在まで無届けのまま、ということは、市が黙認していたと考えるのが自然ではなかろうか。
また、ある県の担当者は「現在届出済の有料老人ホームに対する各種指導だけで手いっぱいの状態、無届け有料老人ホームが届けを出してきたら人員数の問題もあってとても応じられない」と語る。
これは裏を返せば「届け出をされても困るので、できればして欲しくない」ということになる。
 また、総務省では無届け有料老人ホームの数を調査する際し「インターネットに載っている施設が無届け施設かどうかをチェックしていった」という。つまり、この業界に対し、深い専門知識・情報収集力・人脈などがなくても無届け有料老人ホームの存在を把握することは可能と言える(もちろん、すべてを把握するのは困難だろうが)。
となると、各自治体の担当者が、インターネットを使った総務省よりも有料老人ホームに関する情報収集力は劣っていた、と考えるのは不自然だろう。

高齢者住宅でも同様のケースに

 もちろん、無届け有料老人ホーム問題の一番の根源は、違法行為であることを知りながら運営を行ってきた事業者側にあることは明白だ。しかし、今まで自治体などがその問題に対し本気で取り組んできたのか、というと疑問が生じる。
 今回、高専賃についても、自治体や行政のチェック機能をはたらかせよう、という動きになっている。
良質な高専賃を市場に供給しよう、という考えに誰も異論はないと思う。
 しかし、チェックする側の自治体・行政が本腰を入れてそれに取り組まないと、結局のところは無届け有料老人ホームとまったく同じ
「絵に描いたモチ」になってしまうのではないだろうか、という懸念が生じる。
参考リンク:東京都 「無届けホーム規制」を緊急提案 「立ち入り調査等を届出行えず
      :無届け有料老人ホーム 運営事業者に直撃 個室化難しく届出行えず
      :国土交通省 無届け有料老人ホーム6割が建築基準法違反
      :国土交通省 無届けホーム全国に506件

        
        

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