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医療面の研究前進、事業者も各種取り組み 認知症予防・改善 最新レポート

2009年09月15日23時18分

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(コンテンツ提供:高齢者住宅新聞2009年8月5日号)

サービス・商品名 提供会社 内容
DKエルダーシステム 第一興商 カラオケとオリジナル映像による
音楽療法システム
はつらつ製造器 テルウェル東日本 映像配信による介護予防
支援ASPサービス
リハビリテインメントマシン バンダイナムコ 「ドキドキへび退治」など高齢者
向けゲーム機
Xavixほっとプラス 新世代 テレビを使用した29種の
レクリエーションプログラム
ブンネ音楽法 SQC 身体機能が低下しても演奏
可能な楽器
らくしゅう療法 サングッドアソシエイツ ゲーム感覚で計算などをする
脳トレーニング法
くもん学習療法 くもん学習療法センター ”読み・書き・計算”に加え、
学習支援者との会話も重視
 世界最速で高齢化が進む日本。それは同時に、認知症患者数の加速度的増加を招いている。要介護認定を受ける高齢者の半数が、認知症またはその予兆があるとされており、現在、認知症患者数は全国で約200万人に上る。
2020年には1990年の3倍にあたる290万人にもなるとの予測もある。その一方で認知症研究や予防・改善の動きも活発だ。
最新研究結果や介護事業者の試みなど、認知症関連の最新情報をお届けする。

 緑茶が有効など研究成果続々

 認知症予防・改善に関する研究が進み、新しい成果が次々と発表されている。
 緑茶飲料メーカー最大手・伊藤園(東京都渋谷区)が先日発表した、緑茶成分「テアニン」の摂取に認知症予防効果があるとするのもそのひとつ。被験者に緑茶中の主なアミノ酸「テアニン」を多く含む「緑茶抹カプセル」を長期的に摂取させた結果、高齢者の認知機能の低下が抑制させる結果が出たという。
 大学共同利用機関、生理学研究所(愛知県岡崎市)が先日発表した研究成果も、認知症治療法開発を前進させたと注目を集めている。
 同研究所では、脳内の酸素の機能を失くすことによって、著しい「記憶障害」を持つマウスの開発に成功。
脳の中の様々なタンパク分子が連携して働く、学習や記憶の形成に関する研究を一歩先に進めた。
 この研究で、脳の記憶を司る「海馬」に多く存在する酵素タンパク質「カルシウム・カルモジュリンキナーゼIIアルファCaMKIIα)」の酵素活性が、神経細胞シナプスから行動レベルにおける記憶の形成に不可欠であることがわかった。
 また北海道大学では、今春、神経細胞同士の情報伝達の瞬間を、画像化することに成功。
これは最新のレーザー顕微鏡を使ったもの。「物を覚える・忘れた」という脳内メカニズムの解明につながり、アルツハイマー病や認知症などの治療法開発へ進展する可能性がある。

前頭前野機能「認知」に影響

 一方、認知症予防・改善における介護事業者の取り組みも活発だ。
多くの介護事業者が、自社開発したプログラムや他社の有効なプログラム導入を図り、高齢者及びその家族の”生活の質向上”を目指している。
 数あるプログラムの中でもよく知られているのが、東北大学・加齢医学研究所の川島隆太教授らが開発した「学習療法」。
「読み・書き・計算」の学習によって脳機能改善を行うという手法で、全国の介護施設や自治体などで導入されている。
 「学習療法」は、くもん学習療法センター(東京都千代田区)が商標登録している。
 加齢にともない失うものの多くは、大脳の「前頭前野」と呼ばれる領域の機能低下が関連している。
「前頭前野」は実に多くの役目を担っており、①思考する、②行動を抑制する、③コミュニケーションをとる、④意思決定する、⑤感情を制御する、⑥記憶を操作する、⑦意識・注意を集中する、⑧注意を分散する、⑨意欲を出す、といった、人間を人間たらしめる高次機能を司る。
 この機能低下防止あるいは低下機能回復は、すなわち「認知症予防・改善」へとつなげられる。
この考えに基づき、「学習療法」は開発され、”非薬物療法”の一つとして注目を浴びる。
 機能改善効果や社会的貢献度が大きいことが認められ、川島教授、くもん学習療法センターの両名は2009年7月15日、独立行政法人・科学技術振興機構から「井上春成賞」を受賞した。

TVゲームや特殊楽器活用

 認知症予防・改善サービスを挙げれば、枚挙に暇がない。
 業務用通信カラオケ業界最大手・第一興商(東京都品川区)では、カラオケを活用した脳刺激プログラム「DKエルダーシステム」を開発。
オリジナルの脳刺激コンテンツを搭載するカラオケ機を、介護事業者向けに販売している。
 任天堂出身社長が率いるゲーム開発会社、新世代(滋賀県草津市)の介護施設向けテレビゲームシステム「XaviX(ザ・ビックス)」もある。
これはボーリングなど、数多くのレクリエーションを実際に体を動かして楽しむもの。「脳は目と手で鍛える」との考えのもと、多くのデイサービスセンターなどで使われている。
 またスウェーデンの福祉ノウハウや商品普及を図る、スウェーデン・クオリティ・ケア(東京都港区)の音楽療法「ブンネ法」も話題を呼んでいる。
これは「2009年4月から、日本で本格的に販売開始したもの。4つのコードとレバー調整だけで演奏できる簡単な楽器を用いて、脳の活性化を図る」(ヨアキム・カトウ東京事務所代表)。
スウェーデン人のブンネ氏が開発した「スウィング・バー・ギター」を用いる。
 このほか、NTTグループのテルウェル東日本(東京都渋谷区)が2006年から提供している、映像配信による介護予防支援ASPサービス「はつらつ製造器」がある。
オリジナルコンテンツをテレビ画面に配信する、月々4万9800円のサービス。
経験の少ない介護職員でも十分に対応することが出来るのがうりだ。東京都老人総合研究所(現・東京都健康長寿医療センター)の監修を受け、脳の刺激にも気を付けた。

3種類に分類型で特徴に差

 認知症は脳卒中や転倒・骨折などともに、高齢者が「要介護」に陥る3大原因のひとつ。と同時に、同じ認知症は大きく3種類ある。
 「アルツハイマー型」、ドイツの精神医学者の名前に由来する。
そして脳の血管が詰まるっことによって神経系に障害が起きてなる。
 「脳血管性認知症」。日本人医師・小阪憲司氏によって発見された「レビー小体型認知症」。
この「レビー小体型認知症」は「アルツハイマー型認知症」に次ぎ、2番目に多い認知症。認知症高齢者の5人に1人がこのタイプにあたり、人格変化が特徴だ。
 このレビー小体型認知症の患者家族支援団体、レビー小体型認知症家族を支える会(事務局・横浜市)の宮田真由美会長は、
「認知症は本人や家族に相当な負担をかける病気。少しでも予防・改善ができるなら、介護事業者は様々な対策を講じるべき」と話す。
 一方で国は2006年に介護保険制度を改正。その目玉に「介護予防給付」制度を設定した。
 このため「運動機能の向上」、「栄養改善」、「口腔機能の向上」に向けた介護予防プログラウが積極的に行われるようになったが、認知症予防に向けたプログラムの確立はまだ途上だ。
 認知症予防研究で先端をゆく東京都健康長寿医療センターの宇良千秋研究員は、「認知症の原因疾患のほとんどを占めるアルツハイマー病の発症原因やメカニズムは、まだ全て明らかにされていない。けれどもすでに効果がある手法も確立してきている」とし、
「料理プログラム」、「旅行プログラム」、「パソコンプログラム」もその効果の出た手法として推薦している。


参考リンク:伊藤園 緑茶成分「テアニン」摂取認知症予防の可能性
                  :たかせクリニック 理想は薬2割、ケア8割
      :トピックス アリセプト 認知症治療剤で世界初 内服ゼリー剤販売へ
      :くもん学習療法センター 科技振興機構から受賞 「学習療法」要介護の進行抑制

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