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民・社・国 連立政権発足 介護・医療政策への提言 「中負担」で「高福祉」の実現は可能か

2009年09月26日16時54分

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(コンテンツ提供:高齢者住宅新聞2009年9月15日号)

 2009年9月16日、いよいよ民主党、社民党、国民新党による連立政権がスタートする。
「社会保障費2200億円削減の中止」「後期高齢者医療制度廃止」などを掲げて政権の座についた各党の登場で、日本の介護・福祉がどう変わるかが注目だ。
今日は有識者に新政権が掲げる政策をどう評価するかという点について、話を聞いた。

「処遇改善」を一貫して主張

 「民主党は、これまで介護人材の処遇改善を訴える動きを一貫して行ってきました。それが、2009年4月の介護報酬アップ、そして、その後の介護人材処遇改善交付金などにつながりました。それを考えると、今回のマニフェストにうたわれた『介護人材の給与月4万円増』の政策実行に多いに期待をしています」と語るのは、介護職従事者による労働組合、日本介護クラフトユニオン(東京都港区)の河原四良会長。
 もともと労組は民主党の重要な支持母体であることから、自分達の提言・意見を聞き届けてくれる政権ができた、ということに対して期待を寄せている。
 一方で、これまで自民党が掲げてきた「中負担・中福祉」の政策から、「高福祉」へと転換することについては「中負担」で高福祉を実現する、というのは、財源確保をどうするのかという点を考えても現実味がありません・高福祉を目指すならば高負担にせざるを得ないでしょう。それに対し、国民に十分に説明をし、理解を求めていくことが重要だと思います。
 2年先、3年先といった目先の話ではなく10年先、20年先の日本の福祉のあり方をビジョンとして掲げ、それに向けて国民の理解を得ながら高負担・高福祉社会への転換を図っていく姿勢が重要なのでしょうか」と提言する。

過去の政策に厳しい見方も

 全日本民主医療機関連合会(東京都文京区)は、日本共産党を支援していく団体とあって、今回の民主党の大勝を「小泉政権依頼続けられてきた数々の悪政に対し、国民のいかりが爆発した結果」とし、自公政権を退陣させたことには歓迎を表明している。
 ただし、民主党議員の中には元自民党、あるいは自民党と連立政権を組んでいた元自由党の議員も多いことから、
「果たして本当にこれまでの自公政権のやり方を変えることができるのかといった点で不安もあります」(林泰則事務局次長)という声もある。
 加えて「貧困と格差をつくり出した労働者派遣法の改正(平成11年)などに賛成し、今とまったく別の態度をとっている政党の真価が問われる」と、厳しい評価を下している。
 また、民主党が、介護人材の処遇改善だけでなく、子育て支援金の支給など、国民に対する直接的な金融支援をマニフェストに掲げていることについて、財源確保の面で不安を掲げる意見もあるようだ。
 NPOの高齢社会をよくする女性の会(東京都新宿区)の樋口恵子理事長は「これまでの政策は、まとめて省庁に予算付けをするというものでしたが、その多くは官僚機構に吸い取られてしまい、子供や高齢者などニーズのある本人には行き渡りませんでした。
それを考えれば新政権の子供手当などは基本的に賛成です。
ただし、日本は子供対策も高齢者福祉も実に低い水準にあります。このため世代間で社会保障費を奪い合うことにもなる危険性があります」と財源面に不安をのぞかせる。
 財源案について民主党では、マニフェストの中で、公共事業の見直しや独立行政法人に対するチェック機能の強化などで、
平成25年度には16兆8000億円の財源が確保できると試算する。
 しかし、今回、民主党と連立政権を組む国民新党は「財源の確保は、支出削減ではなく、適度な公共事業の推進などの積極財政で経済成長を促進させることで、税収アップを図る」ということをマニフェストでうたっており、民主党とは対極的な考えである。
このことが民主党の掲げる政策を実行する上で、影響を与えることも考えられそうだ。

有効な政策はそのまま維持を

 また、今回誕生する新政権が「自公政権からの脱却・変化」を印象付けたいがために、これまでの政策を全て変える、といった行動に出ることについて不安の声もあるようだ。
 例えば2009年7月24日には、厚労省が省内に「医療・介護改革調整会議」を設置した。
これは省内の医政・老健・保険の3局の連携を図り、一元的な施策を立案・実施するための調整機関だ。
今後「医療の機能分化・連携斑」「介護と医療機関の連携(地域包括ケア)斑」により、2010年の診療報酬改定や、12年度の診療報酬・介護報酬の同時改定への対応をはじめ「療養病床の位置づけ」「住居系施設・介護業施設に対する外部からの医療促進」などといった政策課題について取り組んでいくという。
 これなどは今後、良質な高齢者住宅の供給を考える上では十分に評価できる取り組みと言える。
また、国交省が行う「高齢者居住安定化モデル事業」の採択と助成、東京都が行う生活支援サービス付き適合高専賃への助成などもこれからの高齢化社会の進捗の中では、必要な施策といえるだろう。
 このように必要なものについてはこれまでの取り組みを尊重し、手を付けない、という姿勢を明確にしていかないと、結果的に介護施設や高齢者住宅の供給に消極的な気運が強まる、といったことにもなりかねないのは懸念材料だ。



参考リンク:民主党 医療・介護政策 総点検

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