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チャーミング・スクウェア芦屋 税金滞納問題のその後

2009年11月21日15時43分

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(コンテンツ提供:高齢者住宅新聞2009年10月15日号)
 
 9月25日号、10月5日号で伝えたように、兵庫県芦屋市の大型介護付有料老人ホーム「チャーミング・スクウェア芦屋(以下CS芦屋)」の税金滞納・差し押さえ問題が業界の大きな話題となっている。
「日本最大級のシニアレジデンス」として鳴り物入りで開業したCS芦屋が、なぜこのような状態にまでなってしまったのか、事業失敗の原因を探る。

知名度不足で入居者集らず

 オープンして約2ヶ月の時点で、入居者は成約ベースで10名ほどと、開業当初から苦戦をしていた。
 その理由について、当時のCS芦屋の支配人は「関西地域でのゼクスの知名度の無さ・CSのブランド力の無さがあるのでは」と分析している。
 当時ゼクスはCSの他に要介護者を主な対象とした「ボンセジュール」を展開していたが、エリアは首都圏が中心であり、関西での知名度は低かったのが現実だ。
ましてや関西エリアでは関西電力や大阪ガス、神戸製鋼や三菱重工といった財界の雄である企業が有料老人ホーム事業を手がけている。そこに首都圏の新参企業が、ましてや高級路線で参入したことが、そもそもの失敗の要因だった、という見方ができそうだ。

500戸では大き過ぎる

 「規模が大き過ぎた」と指摘をするのは、健常高齢者向け住宅のデベロッパーだ。
 「介護を必要とする人向けの施設ならば、自宅での生活ができなくなった人やその家族がせっぱつまって探しますから、それほど事業者側から熱心な営業をかけなくてもある程度は入居見込み客を集めることができます。
しかし、元気な高齢者向けは別です。
当社の物件でもそうですが『身体が心配になってきたので、見守りや食事のサービスがあるのは便利だから』と、必要性にかられて入居をするのは全体の半分程度です。
残り半分は『何だか面白そうだから』という興味が先に立った人で必要性を感じていないのです」
 必要性が無い人に買ってもらうのだから、営業スタッフの力量も必要になるし、成約に至るまでの手間も時間もかかる。
また見込みから成約に至るまでの割合も当然低下する。
「とてもではありませんが、『チラシを撒いて、モデルルームに見学に来てもらえれば、何とかなる』というものではないのです。
販売の手間を考えても1度に販売できるのは100室ぐらいまででしょう。
それを考えるとCS芦屋の500室以上というのは、常識では考えられません」と、デベロッパーでは指摘する。
 この点については、都内で健常者も要介護者も入居が可能な高級介護付有料老人ホームを手がける事業者も「もしCS芦屋が当初から介護付有料老人ホームとして企画・設計されたもので、規模も100室クラスならば、入居も順調だったのではないでしょうか」と同様の見解を示している。

海沿いの立地富裕層敬遠

 「立地が問題だった」という見方もある。
 CS芦屋が建つのは海沿い。すぐ目の前がヨットハーバーで、専用ヨットを保有していることなどが売りにもなっていたが、このことが逆に周辺の富裕層からソッポを向かれる形になってしまったのである。
 「阪神間エリアは、所得に応じ住むエリアがはっきり分かれています。富裕層は阪急電鉄より上の山沿いに住んでいて『阪急より下には絶対住みたくない』と考えます。
彼らにとっては『海沿いは芦屋であって芦屋ではない』のです」と語るのは、阪神地区の介護事業者だ。
 その結果、現在CS芦屋には、もともと芦屋市に住んでいた、という人は1人も入居していないという。
もっとも、この点が「芦屋市民が1人も入居をしていなければ、市の介護保険財政は傷まないから」との理由で、今年6月に全館特定施設として認められた要因ともなっている。
 この他にも、ここ数年の不況で、シニア層の財布のヒモが固くなっていること、運営母体であったゼクスの経営が芳しくないことで消費者が敬遠した、などの理由が考えられる。
しかし、他の事業者の声を総合的に判断すると「そうした外的要因よりも、そもそもの企画に問題あり」といえそうだ。

売却になっても買い手は不在

 さて、CS芦屋は、土地・建物を保有する特定目的会社が税金の滞納により差し押さえられている状況だ。
このままだと競売・公売となる可能性が高い。その場合、「購入者が現れるか」という点も注目の的だ。
 しかし、これについては「名乗りをあげるところは、まずいないだろう」というのが業界での一致した見方のようだ。
 CS芦屋については、運営会社が所有者に対し賃貸料(家賃)を支払っていない、という情報もある。
これが事実ならば、CS芦屋は賃貸不動産としての収益性はゼロということになる。
この状況で購入に名乗りを上げるものがいるとは考えられない。また購入後は運営者に対して家賃支払いを求めるにしても、運営者側も「稼働率10%」では、家賃を支払うだけの収入がないのが現実だ。
 また運営会社との賃貸借契約を解除して、他の用途(ホテルや一般向けのマンション等)に転用する、といった選択肢もあるが、この場合は、現在の入居者に他の場所に移ってもらわなくてはならない、という問題が生じる。
いずれにせよ、CS芦屋の運営については手詰まりな状態だ。ましてや「税金滞納物件」とあっては、今後新規の入居も見込めないだろう。最終的に、この問題がどのような形で決着するのかが注目だ。


名 称   チャーミング・スクウェア芦屋
所在地  兵庫県芦屋市海洋町12-1
戸 数   578戸。一般居室497、介護居室81。
交 通   JR芦屋駅よりバス18分
開 設   平成19年3月
類 型   介護付有料老人ホーム
費 用   ○入居一時金1880万円~8500万円。2人目追加入居金780万円。
       ○管理費用月額10万6150円。2人入居の場合17万4300円。

 

参考リンク:チャーミング・スクウェア芦屋 固定資産税・不動産取得税滞納 市と県が差し押さえ
      :”滞納報道”にゼクス反論 「特定目的会社とは資本・人的関係なし」と
      :ボンセジュール(高橋陽一郎社長) 高級ホーム事業を譲渡 米国投資会社カーライルに
      :ベネッセ ボンセジュール買収

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