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【書評105】高齢者医療難民 介護療養病床をなぜ潰すのか 吉岡充/村上正泰著

2009年11月22日14時12分

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(コンテンツ提供:高齢者住宅新聞2009年10月15日号)
 
現場医師の視点

 サブタイトルにあるように、在宅医療現場の医師である著者のひとり、吉岡充氏は「介護療養病床をなぜ潰すのか」と、厚生労働省が進める高齢者医療のあり方を痛烈に批判。
また共著者で医療制度改革に携った元官僚の村上正泰氏が、「医療崩壊」が叫ばれる危機的な状況を分かりやすく解説する。
本書『高齢者医療難民』は、今後深刻化するだろう、療養病床再編から派生する様々な問題がわかる入門書でもある。
 厚生労働省が平成18年度の医療制度改革で打ち出した「療養病床削減計画」。平成18年度に医療保険適用で25万床、介護保険適用で13万床、計38万床あった療養病床を、平成24年度までに医療保険適用のみの15万床に削減使用とする計画だ。
 これに対し、多くの医療・介護関係者や高齢者、家族から、「このままでは削減される23万人はどこへ行けばいいのか」と不安や怒りが相次いだ。
 吉岡氏はこの療養病床再編成について、「厚生労働省が病床削減の道具として医療区分を用い、入院患者の60%を社会的入院だと決め付けたことに端を発する」と指摘する。
 「それは施設をばっさり切り捨てるとともに、利用者も血を流し、生命を失うことにもつながること」とし、「先進国のすべきことではない」と憤る。それは「社会的入院」をしているのかは、個別に細かく判断すべきことなのだが、「医療区分1だから社会的入院、介護施設でいいなどという極めて粗雑な考え方で、人の生死を含む問題を扱うことは無茶であり、正しくない」からだ。

官僚からの視点

 一方、大蔵省(現・財務省)から厚生労働省へ出向中に、医療制度改革に携わり、医療費適性かけ各の沸くグミ作りを担当した村上氏は、「療養病床23万床削減決定の舞台裏」を明かす。
 入院患者の医療の必要度合いに応じた「医療区分」がまず初めにあり、これが厚生労働省の「本当に必要なのは15万床」という判断の根拠となっている。
 村上氏は「不確かさを抱えながらも、医療費を削減しなければならないなかにあっては、とにかくそれをもとに進めざるを得なかった」
と振り返る。
 財政再建の名の下に現場が振り回されている療養病床の大幅削減。医療難民化する高齢者の厳しい現実も見つめている。
第1章「『介護療養病床の廃止』問題とは何か」から第5章「後期高齢者医療制度の問題点」まで一気に読ませる。
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