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「病気」のキーワード13:クッシング病

2009年11月23日16時14分

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(コンテンツ提供:高齢者住宅新聞2009年10月15日号)

 クッシング病とは、副腎皮質ホルモンの一つである「糖質コルチコイド」の慢性的過剰分泌により起こるクッシング症候群のうち、下垂体腺腫が原因で起こる病気を指す。当初は毛細血管を透けて見えるようになり、腹部が膨らむ一方、大腿部が細くなる。
また顔が浮腫み、臀部に赤い筋ができるほか、糖尿病などを合併することもある。

 副腎皮質が出すコルチゾール

 多種のホルモンを分泌する内分泌器、副腎(ふくじん)。腎臓の隣にある。
 この副腎周辺にあるのが副腎皮質で、「アルドステロン」と「コルチゾール」と呼ばれるホルモンを含む「鉱質コルチコイド」と「糖質コルチコイド」を生産。体内のストレス反応を調停している。
 ちなみに「ホルモン」とは、体液(血液)を通して体内を循環。特定の器官でその効果を発揮する生理活性物質のこと。
特的器官の働きを調節する情報伝達物質と言える。
 ホルモンは、非常に微量でその作用を発揮。そのため血液などの体液中での濃度が極めて低いことが特徴だ。
 今回取り上げる難病「クッシング病」は、副腎皮質ホルモンである糖質コルチコイドの一種「コルチゾール」が深く関係する。

「下垂体」原因で制御機能が低下

 「コルチゾール」は、「ヒドロコルチゾン」とも呼ばれる。炭水化物や脂肪、およびタンパク代謝を制御する役割を担い、私たちが生きる上で必要なホルモンになる。
 「クッシング病」は、この「コルチゾール」が過剰に分泌されることで起きる病気だ。
特徴的な身体所見を示す疾患群は「クッシング症候群」と呼ばれ、このなかでも多くのホルモンを分泌する内分泌器官、下垂体を原因とするもので、さらにコルチゾールをコントロールするホルモンの一種「ACTH」を過剰に出す病気が「クッシング病」になる。
 一方、副腎が原因でコルチゾールを過剰に分泌する状態は、「ACTH非依存性クッシング症候群」または「副腎性クッシング症候群」と言う。
また「ACTH依存性クッシング症候群」で、下垂体以外からACTHが過剰に分泌される病気は、「異所性ACTH症候群」と呼ばれている。

発生患者多くは「中年の女性」

 ここで上記を言い換えると、分泌量がストレスに敏感に反応するため「ストレスホルモン」とも呼ばれる「コルチゾール」。
糖代謝をはじめ、脂質代謝やタンパク質代謝にも関与する、生体にとって必須のホルモンだ。
 このホルモンを制御するのが「ACTH」と呼ばれるホルモン。脳の直下(腹側)にある下垂体から分泌されている。
 この「ACTH」が、下垂体に小さな腫瘍ができることで過剰分泌され、「コルチゾール」が過剰分泌になると、「クッシング病」ということになる。
 少し古いが、1965~86年にかけて行われた全国調査では、平均して年に約100症例に新たな「クッシング症候群」が発症。
そのうち副腎性が50%、クッシング病が40%程度と考えられている。
 またこの調査では、中年の女性に多くみられ、男女比は約1:4とされている。

皮下出血し易く糖尿病の合併も

 「コルチゾール」が過剰分泌されるとどうなるか。
まず、前腕や下肢の皮膚が薄くなり、皮下の毛細血管が透けて見えてピンク色のまだら模様になる。
やがて腹部が出てくるが、大腿部は細くなっていく。
 さらにモノに身体をぶつけた後、皮下出血しやすくなる特徴も見られる。
 顔は浮腫んだ赤ら顔になることに加え、多毛、にきび、腹部や臀部に赤い筋が発生する。子供で発症すると身長の成長が止まる。
うつ傾向も見られるという。
 また、これも大きな問題だが、糖尿病や高血圧、骨粗鬆症などを合併することもある。
 病気が進行すると感染に弱くなり、敗血症でなくなることがあるので注意が必要だ。敗血症とは、細菌によって引き起こされたSIRS全身性炎症反応症候群)のことだ。

要因の腫瘍小さく除去難しい現状

 この病気の原因のほとんどは、下垂体腫瘍
この腫瘍を手術で取る方法が、最も有効な手段と言える。
 しかし腫瘍が小さいことが多いため、なかなか見つかりにくいのが現状だ。また現在のところ確実に腫瘍を小さくしたり、ACTHが作られるの抑えたりする薬もほとんど無い。
 その場合は副腎のステロイドホルモンを抑える薬を使って様子を見ることもある。
 治療をしない場合、高血圧、糖尿病、骨粗鬆症などの悪化のみならず、先に紹介した敗血症で死に至る危険性がある。

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