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「住宅型」の届け出が増加か 25平米ルール適用 新基準でどうなる高専賃

2009年11月25日14時36分

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(コンテンツ提供:高齢者住宅新聞2009年11月5日号)

 高齢者居住安定確保法の改正により、高専賃の登録に際し新たな基準が今月19日よりスタートするが、これまで登録されていた高専賃についても、 既得権を認めずに一度登録を白紙に戻し、新たな基準の元で再登録を行う必要がある、という厳しいもので、
現在登録済みの約2割の物権は再登録が認められないだろう、と言われている。高専賃運営事業者らは、この状況に対し、どのように対応していくべきなのだろうか。

居室6平米など劣悪な物件も

 はじめに、高専賃登録の基準について、再度確認しておこう。
 これまで、高専賃として登録を行う場合には①専ら高齢者を入居させること②賃貸借契約を活用すること、の2点のみが条件とされ、あとは物件所在地や戸数などの情報を開示すればよかった。
 しかし、この結果「居室面積が6平米などというものもありました」(タムラプランニングアンドオペレーティング田村明孝社長)など、住居としてあまりにも劣悪な環境の高専賃が市場に供給される、という事態となっていた。
 今回の法改正では高専賃については「居室面積25平米以上(十分ば面積のバス・キッチン等を共用部に設ける場合には18平米以上でも可)」などといった基準を新たに設けた。
市場から劣悪な物件を排除し、消費者を保護する、というのが大きな目的だ。
 したがって、25平米(または18平米)に満たない物件は登録できないため、結果的に高専賃と認められない。
この場合その物件が食事などの入居者の生活を支援するサービスを提供していれば、老人福祉法第29条の規定上、有料老人ホームの届出が必要となる(これを怠れば、もちろん「無届け有料老人ホーム」になる)」。一方、そうしたサービスを提供していない場合は、普通の賃貸住宅となる。
 つまり、今回の新規定は、高専賃運営事業者にとっては事業戦略上大きな影響を与えることになるのだ。シルバーライフネットワーク(東京都中央区)の向井幸一社長が語る。
 「例えば、建物所有者から事業者が建物一括借上げをして高専賃を運営している場合、一括借上げ契約の契約書には『住居として転貸する』という一文が入っていることがよくあります。
しかし、有料老人ホームは住居ではありません。そのため今回の法改正により高専賃を有料老人ホームにする場合、建物所有者との契約を新たに結び直したりする必要が生じることもあるのです」
 また新基準での登録の受け付けは来年の5月19日までとなっている。
もちろん、これ以降も登録はできるが、その間は高専賃として認められないため「高専賃」の看板を掲げたり、パンフレットに「高専賃」と記載してあった場合には虚偽広告として問題になることも考えられる。

自治体独自のルールを定める

 さて、この「25平米(または18平米以上)」という基準については、各都道府県・政令指定都市・中核市(以下自治体)は「住生活基本計画」にもとづき、独自の基準を設けることが可能となっている。
 例えば、東京都などは「地価の高い大都市圏では『25平米以上』という規定は事業者の採算性を大きく低下させる」として、この数値に反発している。
学研ココファン(東京都品川区)の小早川仁社長が語る。
 「都は、今年3がつに群馬県渋川市で発生した無届け有料老人ホームの火災で、都内の低所得者が多数亡くなったことを問題視しており、安い費用で入居できる高専賃の供給が必要という認識です。
 入居費用を下げるには特定施設と同じく居室面積基準を13平米以上にするべき、という意見が強いのです」
 このため、高専賃の事業者は「どこの自治体がどのような規定を定めてくるのか」といった点を見極めていかないと、自らが手がける物件が高専賃に該当するかどうか、という判断が行えず身動きが取れない、という現実もある。
 しかし、新基準での登録開始が今月にも迫っているのに、どこの自治体でも、まだ基準を定めてはいないようだ。
 「理由としては、自治体の性格上『新規定については新年度からスタート』と考えている、ということもあります。
もうひとつは自治体の中でも住宅部局と福祉部局間での意見調整が上手くいっていない、というのもあるでしょう」とシルバーライフネットワーク向井社長は指摘する。
 と同時に「いくら自治体で独自基準が設けられる、と言っても、特定施設のように13平米などという水準は認めないだろう」と予測する。

「居室13平米」の高専賃は可能は

 「13平米というのは、住宅としてはやはり狭すぎます。既に稼動している高専賃があり、そこが経営状況もよく、利用者からの評判のいいが広さが13平米、などといった特別な事情がなければ難しいでしょう」
 長谷工総合研究所(東京都港区)の吉村直子主任研究員も同様に「あまり狭すぎる広さ基準は考えられない」という意見だ。
 「国が25平米という基準を定めたのは『良質な高専賃を供給する』という考えに基づくものです。
その一方で、自治体があまりに狭い高専賃の供給を認めてしまっては、国と自治体の考えが正反対になってしまい現場が大きく混乱してしまいます」
 また、実際に高専賃を運営する事業者は「確かに都心部では時価が高く25平米を上回る居室面積で採算をとっていくのは難しいものがある。しかし、同じ都内でも23区以外なら25平米でも十分に事業はできる」と語る。
この意見からもわかるように「25平米以上」という新基準は全国的に見た場合に無理のない数値であるといえそうだ。
こういった点を考えても国と同様のルールが各自治体においても適用されると考えるのが自然といえそうだ。

通常賃貸住宅を選ぶ事業者も

 (財)高齢者住宅財団(東京都中央区)によれば、高専賃の登録戸数は今年10月27日現在で3万8965戸となっている。
新基準により、約2割は高専賃の登録対象外になると予測されている。
 冒頭でも紹介した通り、この場合、生活支援サービスを提供していれば有料老人ホームとしての届け出を行わなければならない。
しかし、有料老人ホームになると、自治体からさまざまなチェックが入ることになる。これを嫌う事業者も出てくるだろう。
 また、住宅業界から高専賃事業に参入した事業者の中には「ウチが手がけたいのは、あくまで住宅である。有料老人ホーム事業にまで手を伸ばすつもりはない」と考えるところもいるだろう。
その結果「単なる賃貸住宅」(この場合「高専賃」とは名乗れないが「高齢者用」「高齢者向け」などと名乗ることは可能だ)の道を選択する事業者が出てくることも考えられる。

定義あいまいな「生活支援提供」

 しかし、この場合は「生活支援サービスを提供していない」ということが条件になる。
では、何をもって「生活支援を行っているのか」という点についてだが、これは非常に微妙と言わざるを得ないのが現実だ。
 シルバーライフネットワーク向井社長が語る。
 「例えば、建物に運営者とは無関係の事業者が訪問介護ステーションやデイサービス、クリニックなどをテナントの形で開設したとします。これは一般の賃貸マンションでも下居階が店舗・事務所仕様になっていればよくある話ですから、パンフレットなどに『1階にはデイサービスが入居』などと書いても『生活支援サービスを提供している』とは指摘されないでしょう。
しかし『万一の際にも1階にデイサービスがあるので安心』などといった一文を入れてしまったら、これは運営者が生活支援サービスを提供しているので有料老人ホームとしての届け出が必要になる、とみなされる可能性があるのです」
 学研ココファン小早川社長は「これまで入居契約と生活支援サービス契約を同じ法人で行っていた場合は、有料老人ホームの届け出が必要になります。
それを避けるには別法人を設立することが一番簡単です。しかし元の法人と新法人が資本関係があったり、経営者が同一であったりした場合に、これを事実上同一のものである、とみなした有料老人ホームに該当すると判断するか否かは、各自治体によっても差が出てくるのではないでしょうか」と語る。
 このように、今回の法改正により、現在の高専賃がどうなるのか、という点については、各自治体の動きが大きく影響を与えることになる。それだけに、各事業者は現在展開する地域、もしくは今後展開を仕様とする地域の自治体の情報を収集して、その動向をよく見極めることが重要になるだろう。
参考リンク:国土交通省 無届け有料老人ホーム6割が建築基準法違反
      :高優賃 国は新規助成も自治体は消極的
                  :高齢者専用賃貸住宅事業者協会 会員の賃貸借契約書チェック
    

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