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認知症とターミナルケアの対応必要 ディスカッションどうなる!? 高専賃

2009年11月26日13時27分

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(コンテンツ提供:高齢者住宅新聞2009年11月5日号)

 「人気の高専賃は有料老人ホームとどこが違うのか?」と題したフォーラムが、先月24日に都内で行われた。「市民発!介護なんでも文化祭」で開催。その模様をお届けする。同フォーラムでは、介護業界に詳しい日本経済新聞編集委員浅川澄一氏を司会に、高齢者住宅コンサルティングの重鎮、田村明孝氏タムラプランニングアンドオペレーティング代表)、特定施設事業者連絡協議会・事務局次長の長田洋氏高齢者住宅新聞社取締役西岡一紀氏が出席。「高齢者住宅」の現状と課題を語った。

住み続けられる権利「賃借権」

浅川 高専賃(高齢者専用賃貸住宅)について、その良し悪しや改善点を中心に、話を伺おうと思います。

田村 まずは高専賃の良い点ですが、利用権方式の有料老人ホームと比べ、入居金が比較的安いことがあります。
それゆえ入退去が簡単にできます。また入居者は住み続ける権利を「賃借権」で確保しています。事業会社の倒産や事業譲渡などによって退去を迫られても、住み続ける権利は保障されているのです。
つまり介護状態になったからといっても、賃貸契約の解約をしないで介護居室など部屋に移されることはないわけです。

浅川 加えてプライバシーが確保される点も、高専賃の特色のひとつです。しかし課題も多くあります。

田村 「賃借権」はありますが、実際には「出て行ってください」と直接的な言い方をしないまでも、認知症の悪化やターミナルケアが必要になった際に追い出す事業者も少なくありません。
他の入居者の迷惑になる場合は退去する、というような契約を入居時に結んでいて、それを口実にするわけです。

西岡 確かにケアの面で不十分な事業者も少なくありません。
そもそも高専賃は事業者によって質に大きな差があります。これは大きく介護事業者が参入したケースと不動産会社が参入したケースそれぞれの認識の違いによります。不動産会社が多く参入したのは、「高専賃にすれば、家賃を3割増で取れる」というデマに乗ってしまったことがあります。しかし不動産事業者の場合は、ケアや医療に関する意識が低く、実際に高齢者の居住には適さない物件の供給も見られます。

田村 高専賃は指定機関に登録すれば高専賃となりました。つまり「単なる登録住宅」です。
また有料老人ホームには立ち入り検査改善命令など、都道府県知事の権限がありますが、高専賃への行政関与は薄くあります。
報告、指示、取り消し、罰金10万円といった程度です。
もっと規制があっても良いと、私は思っています。加えて、情報公開の面での整備も必要です。
高専賃は「情報の開示」がメリットのひとつなはずなのですが、公開情報と実態が一致していないケースが多いのです。

有老に約13万人特養に約44万人

長田 高専賃が伸びてきた背景には、有料老人ホーム(特定施設)の「総量規制」があります。
現在、有料老人ホーム入居者は約13万人で、約44万人いる特養利用者の3分の1を超えたところです。
特養の待機者問題や療養病床削減問題などがある中、有料老人ホームのニーズは高まっています。
核家族化が進む都市部の問題もあります。それゆえ今年8月末時点で、指定特定施設の運営法人は1643法人、2854施設になっているのですが、有料老人ホームの数は期待通りには伸ばせていません。
そこで事業者は、規制のない高専賃に参入してきたわけです。

浅川 実際、高専賃にケアサービスが加わると、有料老人ホームで変わりありません。
ただ、先にも話題になった通り、認知症になったとき、また要介護度が高まったとき、ターミナルケアが必要なとき、その対応を高専賃でできるのか、という問題があります。

長田 例えば国による認知症ケアの研修がありますが、特養などを優先的に受け入れている現状があります。
つまり特定施設など、民間事業者は認知症ケアの質を向上させる機会で、やや不利な状況です。

ハードル高い特定施設開設

田村 高齢者居住安定確保法改正にともない、高専賃の登録が11月19日にスタートし、来年5月19日締め切られます。
基準に満たない高専賃は再登録できなくなり、2割程度「高専賃」の看板を下ろすことになりそうです。それで登録できなかった高専賃はどうなるのか。居室13平米以上の特定施設へ転換するという道もあります。ただこれがとても面倒で、私は特定施設開設のお手伝いをしているのですが、提出する書類は30~50センチほど積み上げるほどになります。
行政はこの届け出のハードルをもっと低くしたほうがいいと思っています。

浅川 高専賃にケアサービスが加わると、有料老人ホームで変わりありません。
どちらが良いかとなると、範疇が違うので比較できませんが、一般的には要介護度の軽度者は、訪問介護を中心にデイサービスが付く住宅型有料老人ホームが向いており、重度者は特定施設が向いています。
いずれにせよ、最終的にターミナルケアの面ではどうなるだろう、というのがありますが、「看取り」についてはどうでしょうか。

西岡 看取りに関して言えば、最近取材先で「うちでは何人看取った」という事業者が増えてきました。
これは「看取り」に重点を置く事業者が増えてきたということもありますが、以前は「うちで何人死んだ」ということを話す事業者はいませんでした。また「看取れる」ということは、入居者や家族に安心を与えるだけでなく、看取りの現場にいたスタッフにもいい影響がある、との話も聞きました。
どんなに頑張ってケアをしても、結局は亡くなってします。亡くなってしまうゆえ、生前一生懸命ケアをしていこう、といった感情が芽生えるようです。

浅川 よく雑誌などで「有料老人ホームランキング」が特集されたりしますが、以前は「施設での死亡率」という項目があり、その項目自体悪い意味で捉えられていました。
きっと何にも知らない記者や編集者が作っていたのでしょけど、むしろこの項目が特色となっていくと思われます。
その意味でも以前と比べて「看取り」は、意識の上で180度転換したと言えます。

小規模多機能と高専賃併設が理想

浅川 ではどのような住まいが理想の高齢者住宅か。
私の思うところを述べると、24時間・365日対応するケア付き住宅は、特に都心部に必要になってくると思っています。
「住宅とケアサービス」は、高齢者の基本的人権と考えているからです。
そしてその住宅には、専用の自室トイレは絶対に必要です。居室面積は18平米は欲しい。それは家族が来たとき一緒に泊まれるからです。

西岡 25平米以上などの規定を設けることは、住環境の面からも理解はできます。
ただ自治体が助成や補助をしないのに、建築基準などに口を出すのはどうかとは思います。

浅川 先ほど高専賃は利用権ではなく賃借権という話がありましたが、転居を強要されない点なども含め、私が理想と考える住まう形態は、適合高専賃。これに小規模多機能型居宅介護を付けたものになります。
看取りまでできる体制が望ましいので、訪問看護ステーションもあれば理想です。

長田 看取り体制整備の問題は重要です。高専賃に限らず、有料老人ホーム、グループホーム、特養など業態に関係なく、考えていく必要があります。認知症患者への対応も同様です。

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