NDソフト ワイズマン 介護システム・ソフト 2大メーカー座談会 - 介護施設・介護情報なら介護の安心ガイド

NDソフト ワイズマン 介護システム・ソフト 2大メーカー座談会

2010年01月27日13時04分

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(コンテンツ提供:高齢者住宅新聞2010年1月5日号)

 慢性的な人手不足の介護業界にとって、介護保険ソフト・システムは少ない人員で円滑な経営を行ううえで必要不可欠な存在といえる。今回はワイズマン(岩手県盛岡市)。NDソフトウェア(山形県南陽市)の2大メーカーに、ソフトのベンダーとして活動する大塚商会(東京都千代田区)を加えて介護保険・介護事業者が現在抱える問題点、これから経営上重要になるポイントなどについて、意見交換をしてもらった。

出席者(順不同)

小田原 浩一氏 ワイズマン 福祉事業本部福祉営業企画部 部長

●星野 裕一氏 ワイズマン 福祉事業本部福祉営業企画部販売促進企画課 課長

●米澤 章氏 NDソフトウェア 営業部 次長

●高橋 仁志氏 NDソフトウェア 事業連携室 マネージャー

●豊田 雅章氏 大塚商会 神奈川営業部SIグループ 部長

司会 高齢者住宅新聞社 網谷 敏数

 介護報酬改定で事業者は混乱

司会 
昨年は介護報酬の改定がありましたが、介護保険システムメーカーにとっても製品リニューアルの必要性が生じるため、興味・関心の高いニュースだったのではないかと思います。
今回の報酬改定については、どのような意見・感想を持っていますか。

星野 介護業界の期待は基礎単価のアップでしたが、実際のところは「いかに加算をとるか」という点が問われる改定だったと思います。大規模な事業者にとっては有利、中小事業者にとっては逆に厳しい面があり、業界の二極化が進むことが懸念されます。

米澤 まったく同感ですね。これからは「中小事業者でもこうすれば加算がとれる」ということを、いかに事業者が学ぶか、が鍵になると思います。また、改正のテーマは「人材確保」「処遇改善」でしたが、「どうすれば人が採れるのか」「人材をどう教育すればいいのか」などといった点について、具体的なアドバイスのようなものがあってもよかったのでは、と思います。

高橋 国が決めた制度の中で、工夫をすれば加算がもらえる、という点では、これまでになかった考え方であり、後から見れば介護保険政策におけるひとつのターニングポイントだったと評価できるのではないか、と思います。

星野 確かに過去の反省の上に立った改正という点はありました。ただし新しい制度は複雑でわかりにくいですね。

小田原 特に今回は、改正内容の情報が出るのがこれまでに比べて遅かったこともあり、介護事業者にとっては、よくわからないまま新報酬体制が始まってしまった、という印象なのではないでしょうか。
事業者の元を訪れても当社の製品説明をするより制度改正について説明したり、アドバイスをしたりするケースが増えました。

米澤 会社に寄せられる問い合わせや質問も、製品に関するものではなく「どうすれば加算がとれるのか」といったようなものが全体の半分にもなっています。

リースがつかず契約が白紙に

 司会
 先ほど星野さんの方から「中小事業者は厳しくなるのでは」といった旨の発言がありましたが、この点については皆さんどのように感じていますか。

星野 実感しますね。提案に行っても「リースが通らなかった」という理由で契約が破談になってしまうケースが多くなってきました。

米澤 資金的な面がネックで商談が先に進まない、というケースも以前より増えました。

豊田 一昨年のリーマン・ショック以降、リースが通らないケースが、それまでの3倍にもなっています。
介護事業者を取り巻く環境は急激に変化していますね。

星野 それに加えて、介護事業者のサービス内容も大きく変化をしています。例えば、特養ひとつとって見ても、今では医療面の強化など一昔前とは全く別の施設の様なサービスメニューになっています。

小田原 それに最近では、高専賃や住宅型有料老人ホームなど包括報酬方式ではない施設も急激に増えています。
我々としても新たな提案方法といったものが問われています。

米澤 また、高専賃にしても、以前は有料老人ホームや特養を利用する前段階に入居するという性格の強いものでした。
しかし、今は重度の要介護者も増え、看取りまで求められる様になってきています。
それに加えて平成24年は介護保険制度の大改定も控えていますから、事業者はそれに対応していかなくてはならないですね。

高橋 民主党政権が誕生して3ヶ月が過ぎましたが、新政権の人間で平成24年改定に言及した人はまだ誰もいません。
それを考えると24年という改定スケジュールそのものだって、今後どうなるかわかりません。
介護業界ではこれから何があっても不思議ではないですね。

米澤 こうした変化に対応しなくてはいけないのは、介護事業者だけでなく、我々ソフトメーカーも同じです。現在でもこの分野から撤退するメーカーが見受けられますが、24年改正への対応が、新商品の開発という負担となって撤退するメーカーも多いと思います。
当社としては、そうなったときにそこの、ユーザーをいかに取り込んでいくかがこれからの課題といえるでしょう。

豊田 そのためには各メーカーの差別化戦略が重要になります。
昔はメーカーは「このソフトは何が出来て何が出来ない」といったマルバツ方式での提案でも良かったのです。
しかし、これからは「このソフトを入れたらどのように便利になるか」という、運用ノウハウでの提案が出来なくてはなりません。

米澤 そうした運用ノウハウは実際の現場が持っていますから、それをいかに開発部門にフィードバックして、いいソフトを作る体制が構築できているかが重要、ということですね。

ASP用いて他社と差別化

司会 差別化、という点では、ワイズマンはASPでの提供を行っていますね。

小田原 NDソフトウェアさんとまったく同じ土俵に立たなくともよいのではないか、と考えました。
新規ユーザーはASPメインに、既存ユーザーも随時ASPに切り替えています。
また、介護業界を取り巻く環境の変化にすべて自社だけで対応するのではなく、他社とのアライアンスを用いたほうが企業経営の面ではいいだろう、と考えたのもASP採用のきっかけになりました。
それに加え、差別化という点で言えば、キャッシュッフローの改善など、ユーザーの利益に直接つながるような機能・提案の強化もしていかなくてはならないと思います。

米澤 当社では、ASPでの提供については正直悩んでいるところです。有望な手法ではあるのでしょうが、まだASPで行くべき、という判断を下すまでには至っていません。
しかし、ワイズマンさん同様に、他社とのアライアンス、という点については重要視しています。
介護保険制度を含めた様々な変化にすべて自社開発で対応していく、というのは費用対効果を考えると正直言って難しいものがあります。
また、サービスの提供方法については、新たな手法を検討しています。例えば携帯端末などは、効率化を求める民間事業者ではニーズが多いのではないかと思います。また、そこに備品の販売などの新たな機能を付加されることもできると思います。

システム導入に後向きな思考

星野 しかし、実際に介護の現場の人と話していると、ITの活用に対する意識が薄いことを実感します。
「汗水流して働くのがいいこと、ITを導入して楽をするのは悪いこと」といった考えがまだまだ根強いのではないでしょうか。
また、実際に現場スタッフのレベルで、どこまでITを使いこなすことが可能か、といった点も考えていかなくてはいけないと思います。
いろいろ機能を盛り込んでも実際に使用するのは一部のみ、ということもあるでしょう。

米澤 確かに、特養・老健などでは、まだまだ手書きレベルで対応している、というところも多いですからね。

豊田 会社側でシステムを導入すると「管理されている」という意識が現場のスタッフにあると思います。
また、国や自治体に管理されている業界というのは、「出る杭は打たれる」とばかりにどうしても思考がネガティブになりがちな面はあります。

小田原 それについては介護だけでなく、医療法人もそうですね。「IT化したところで何が変わるの?」といった意識が強いようです。

米澤 とは言うものの、IT化などで業務効率化を図ったところの方が人材が定着しやすい、いったことが次第に認識されてきていると思います。医療法人の話も出ましたが、医療法人は老健を持っているところも多いでしょう。
いわゆる地域医療連携パスの話も本格化していきますから、これから否応なく医療法人はIT化には目を向けざるを得なくなってくるとのではないかと思います。

情報の共有化が重要な問題に

司会 地域医療連携パスの話が出ましたが、入院期間の短縮化、医療機関の専門性の高まり、医療と介護の連携の中で重要性が高まっています。これについてはどのような考えを持っていますか。

高橋 正直なところ医療業界と介護業界の温度差が強いと実感しますね。
パスを出す側の医療業界は熱心ですが、受け取る介護業界側は冷めています。また、要は必要な情報がしっかりやり取りできればいいのだから、何もITにこだわらなくてもいいのではないか、という意見もあります。
余談ですが、約3年前に医師とケアマネジャーの連絡ツールとして「ケアマネタイム」というものの実証実験が東京都目黒区で行われました。
実際の連絡ツールはファックスだったのですが、利用者の評判は総じて上々でした。
ITによるパスは、ツールとしては初期ハードルが少々高いかもしれませんね。

豊田 紙でのやり取りは「記録が残る」「修正した箇所、内容がすぐわかる」という点で優れています。
こうした点をふまえて「IT化が全ていいか」ということを論じていく必要はあるかもしれません。

高橋 あとは、「地域医療連携パスは医療費の抑制につながる」ということを、もっとアピールしていくことも大事ですね。
その認識が広まっていけば、国の方も本腰を入れて取り組んでいくことになるのではないでしょうか。

司会 いろいろと活発に発言をしていただきましたが、このあたりで座談会を終了させていただきます。
今日はどうもありがとうございました。